未来のアートと倫理のために
山田創平
「アートにおける倫理」をテーマにした必携の入門書
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- ジャンル
- 芸術・デザイン・写真
- 刊行日
- 2021年03月01日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 260ページ
- ISBN
- 978-4-865280142
- Cコード
- C0070
- 装幀・装画
- 納谷衣美/装幀
内容紹介
アート界のジェンダー不平等、見えなくされる芸術労働者、マイノリティと表現の自由、美術館のアイデンティティ、公平性とアートマネジメント 制作と合意、芸術実践における倫理のあり方と公平な社会の可能性を、アーティスト、アートマネージャー、キュレーター、ソーシャルワーカー、ドラァグクイーン、社会学者、弁護士らが共に探った、これからのアートを考える人に必携の一冊。
◉こんな方にオススメ
・アーティスト、アートを学ぶ学生
・アート業界で働くキュレーター、アートマネージャーなど
・アートと社会の関係に興味がある人
人類が成すすべての表現は、権力構造や差別、社会的排除と無関係ではありえず、その意味で純粋無垢ではありえない。そしてこのことはすべての表現には差別や抑圧の「種」のようなもの、やがて誰かを傷つけ、排除するかもしれない何らかの可能性が含まれていることを意味する。だが同時にこれは逆の意味も持っている。すべての表現が政治的であるということは、それがどのような表現であったとしても、それが一見政治的な表現には見えなかったとしても、社会にすでにある差別や抑圧、社会的排除をずらし、破壊する可能性もまた含んでいることを意味するだろう。重要なのは、社会を良くも悪くもするその表現という「可能体」が、その力動が、現在どのような状況にあり、どこに向かっているのかを多面的に見定めることである。この見定めには終わりが無い。なぜなら社会は変化するからである。今後、芸術の文脈において重要になるのは、自らがいまどこにいて、どこへ向かおうとしているのかを、粘り強く思考し、対話を繰り返す力である
───山田創平「はじめに」より