踊る自由 大崎清夏詩集
大崎清夏
わたしとあなた、人称のあいだに揺れる世界を描く新詩集!
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- ジャンル
- 詩・短歌・俳句・川柳
- 刊行日
- 2021年05月31日
- 判型/ページ数
- 四六判変形 並製 112ページ
- ISBN
- 978-4-86528-030-2
- Cコード
- C0092
- 重版情報
- 2
- 装幀・装画
- 大島依提亜/装幀
内容紹介
すぐそこにある、とはいえおいそれと立ち入れないゾーンの中に、この詩集はわたしをすうっと連れ込んでしまった。──岡田利規(チェルフィッチュ)
私も踊りたい/世界が踊っているのだから──。
『新しい住みか』から3年。『指差すことができない』(中原中也賞受賞)以来、1冊ごとに新しい世界を見せてくれる大崎清夏充実の新詩集をお送りします(装幀:大島依提亜)
[略] 「今年は集いは、集わないことになりました。」
あなたの対岸を
わたしもひとりで歩いた
何年も暮らしたはずの場所にも
まだ歩いたことのない道がある
四半世紀まえに足繁く通った
外国の雑貨やはがきを売る店は
育児支援の施設になっていた
砂利の駐車場を横切ってフェンスを跨ぐと
センダングサの棘が手足にぺたぺたくっついた
見知らぬ親水公園に踏み入ると
くさむらの分け目から
猫がこっちを見た [略]
(「川沿いの道を歩く方法」より)