心がめあて
鈴木晴香
掴めないはずの感覚を捉えた瞬間の心地良さ。それが集積して立ち上がる日常をとても愛おしく感じました。──又吉直樹
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- 電子書籍価格
- 1,980 円(税込)
- ジャンル
- 詩・短歌・俳句・川柳
- 刊行日
- 2021年07月30日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 168ページ
- ISBN
- 978-4-86528-038-8
- Cコード
- C0092
- 装幀・装画
- 北野亜弓(calamar)/装幀、寺本愛/装画
内容紹介
第一歌集『夜にあやまってくれ』で鮮烈なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。
わたしとあなた。心と躰。
繋がっては離れ、私たちは、世界をひらく鍵を探しつづけている。
2016年以降に詠まれた短歌のうち、『短歌ください』掲載作を含む297首を収録。
思い出は増えるというより重なってどのドアもどの鍵でも開く生体認証。指紋や眼球や顔が暗号になるように、歌を作ることで入れる世界がある。歌を詠み、歌に詠まれた心身は、そこでは鍵の役目を果たしてきた。自らの欠片を差し出すことで、ドアをこじ開けてきたのだ。でも、少し醒めた時には、こんな風にも考えてしまう。はたして、世界は世界の方で、そんなわたしの押し付けがましい断片を望んでいるのだろうか、と。
心許なく、世界に問いかける。わたしのなにがめあてですか? この歌集におさめた歌は、そんな世界との相聞の苦闘の跡だ。
──「あとがき」より
〈収録短歌より〉
白ければ雪、透明なら雨と呼ぶ わからなければそれは涙だ
君は手の銀貨を天然水に変えその水はすぐ人間になる
文字のない世界に降っていた雪よこれからつく嘘にフォントあれ
またここにふたりで来ようと言うときのここというのは、時間のこと
ライターのどこかに炎は隠されて君は何回でも見つけ出す
【an・an】「言葉のチカラ。」特集に短歌掲載