【通常版】Water』絵・著:坂口恭平|翻訳:エリック・マーゴリス

たぶんこの世で僕しか、この風景を絵にしないと思う。

書誌情報

定価
3,300 円(税込)
ジャンル
刊行日
2021年10月15日
判型/ページ数
B5判変形 並製 276ページ
ISBN
978-4-86528-039-5
Cコード
C0071
装幀・装画
STUDIO 峯崎ノリテル・正能幸介/装丁、帆刈一哉/写真、坂口恭平/写真

内容紹介

前作『Pastel』が1万5000部を突破! 著者SNSで話題が鳴り止まないパステル画集、待望の第二弾が刊行。光、水、風の戯れ。具象と抽象が入り混じる、2020年秋冬〜2021年夏までの記録。

ニューヨークタイムズ本紙1面に著者インタビューが掲載され、世界からも注目が集まる坂口恭平。自身のライフワークともいえるパステル画は日々変化を続けている。

【内容について】
・前作から判型・造本をリニューアル、ページ数を大幅に増量
・パステル画237作品をフルカラーで掲載
・エッセイ「死ぬまで毎日書き続ける」収録(日英バイリンガル)

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僕は空の見方が変わった。それは今日の天気、ではなく、光の動き、水の動き、風の動きで、畑と僕と直結していた。僕は光と水と風も流れている、という当たり前のことに気づいて、彼らも窮屈ではないように生きていた。面白く感じると、すぐに僕は飲み込みが抜群に早くなる、良くなる。風景が風景ではなく、光、水、風という気象と、植物や建築とが変化しつつ戯れている様子に見えてきた。その中で格別な時がある。それを僕はパステルで描くようになった。
だからこの絵は僕の表現ではない、という感覚がある。畑と同じだ。だから、毎日止まらない。僕の表現として、どうすればいいかなんか迷わない。とにかく気象に植物に建築に、それらの戯れに忠実にするだけだ。だから、毎日描くことが止まらない。元々下手だったけど、下手なのは当たり前だ。僕は誰にも絵を習っていないんだから。でもそのことに躊躇せずに、僕は描きたいように描く。その代わり、無能なんだから、毎日描くよ。少しは上手くなっていたら嬉しい。死ぬまで描きたいと思っているから、90歳で死ぬとして、窮屈さから抜け出したんだから、それくらいはきっと生きているくれるはず、あと50年くらい、このパステル画を続けられる。それは面白いことじゃないか。うまいとか下手とか芸術だとか食っていけるとかそんなことを平気な顔して飛び越えていく。僕は自分で生き方を見つけ出したと思った。その意味では僕は病気によって、研究を始めたので躁鬱病に感謝だ。そして、さようなら。そして、畑に感謝だ。パステルに感謝だ。気象にも感謝を。

──本書収録エッセイ 坂口恭平「死ぬまで毎日描き続ける」より

目次

『【通常版】Water』絵・著:坂口恭平|翻訳:エリック・マーゴリス』に関する情報

著者プロフィール

坂口恭平 (サカグチ・キョウヘイ)

1978年熊本県生まれ。2001年、早稲田大学理工学部建築学科を卒業。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行う。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。著作に『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)、『TOKYO0円ハウス 0円生活』(河出書房新社)、『独立国家のつくりかた』(講談社)、『モバイルハウス 三万円で家をつくる』(集英社)、『家族の哲学』(毎日新聞出版)、『幻年時代』(幻冬舎)、『まとまらない人』(リトルモア)、『自分の薬をつくる』『中学生のためのテストの段取り講座』(晶文社)、『躁鬱大学』(新潮社)、『土になる』(文藝春秋)、『継続するコツ』(祥伝社)など。近著に『生きのびるための事務』(マガジンハウス)、『その日暮らし』(palmbooks)、『自己否定をやめるための100 日間ドリル』(アノニマタジオ)がある。ほか画集『Pastel』『Water』(左右社)や料理書『cook』(晶文社)など多数。2023年2月には熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催した。2012年から、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービス「いのっちの電話」を自身の携帯電話で続けている。

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