夢の夜から口笛の朝まで
丸山健二
圧倒的な文体で、人生の救済を描く、丸山健二渾身の書き下ろし小説。
書誌情報
- 定価
- 3,960 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2015年05月10日
- 判型/ページ数
- 四六判 上製 418ページ
- ISBN
- 978-4-86528-114-9
- Cコード
- C0093
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
【左右社設立10周年第二弾!】 「渡らず橋」と呼ばれる一本の朽ちた古い吊り橋を渡る人たち。父と子の葛藤、兄妹の運命。過去に幸福の記憶はなく、未来に希望を見つけられない人たち。 圧倒的な文体で、人生の救済を描く、丸山健二渾身の書き下ろし最新小説。
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刊行に寄せて
文学そのものが死んだわけではありません。
死んだのは、恥ずかしい限りのナルシシズムと、打算的に過ぎる既得権益に毒されてしまった、悪しき群れとしての文学関係者自身なのです。
それが証拠に、
言霊の宝庫たる文学の大海原は、依然として、宇宙を超える広がりと、無限の感動を秘めながら、悲劇の色に染めぬかれた、我々矛盾だらけの人類の現前に、ゆったりとうねり、脈々と息づいています。
そうした人間の魂の深淵を本気で探ろうと、渺茫たるその大海へ出て行くための、頑強な船を書き手が用意したとき、
それに乗りこめる真の読み手の数は、現実を直視できることが最低条件ゆえに、当然少ないのですが、
しかし、
自己逃避が目的ではないかれらこそが、
文学の醍醐味を満喫でき、そして、人間が人間であることを証明してやまない、唯一無二の堂々たる芸術として、後の世に引き継いでゆくことが可能な、個に立ち返り、自我と対峙するための、正真正銘の文学の後継者と言えるでしょう。
丸山健二