数と夕方 管啓次郎詩集

数と夕方 管啓次郎詩集

 一度遠景に退いた風景が、ふたたびくっきりと存在しはじめる。 詩人管啓次郎の新たな展開を告げる待望の第5詩集。 祖父江慎装幀、ポケットの底に、いつも詩集を。

書誌情報

定価
2,640 円(税込)
ジャンル
刊行日
2017年09月21日
判型/ページ数
未定 並製 320ページ
ISBN
978-4-86528-187-3
Cコード
C0092
装幀・装画
祖父江慎/装幀

内容紹介

78 57 37
意味なき数字が脳裏で明滅する
海峡を行く白い小型フェリーに
夕方の黄金の光があたって美しい
息子がこっちを見て手をふっているのもわかる
海岸にはアフリカ原産種の大木の赤い花が咲いて
それは何かを祝っているようだ
(「数と夕方」より) われわれの生のすべての瞬間がそのときその場での地形と気象に左右されているのは、思えば驚くべきことだ。だがそれに驚きつづける人は、いったいどこにいるのだろう。
(略)
生に耐えられなくなった者たちは叫びを上げる。その叫びがつぶやきやささやきや沈黙というかたちをとる者もいる。地形と気象に対する反応が、その背景をなす。ぼくは沈黙に似た無音の情景を、文字で構成しようとした。
(あとがきより)

目次

四川
移住論
海辺へ
数と夕方
Red River Valley
かかしの神
淡海へ
流域論
安土、水郷
ヨハネ挽歌
佐渡 after Dazai
ケベック少年
ブレーメン革命
春と修羅 modified
からす連作
花の科学
十二月が真夏の国では
眠り踊りのはじまり
「遠いアトラス」より
リスボン
フジツボのように
ワリス・ノカンへの手紙
午前三時の川

あとがき

『数と夕方 管啓次郎詩集』に関する情報

著者プロフィール

管啓次郎 (スガ・ケイジロウ)

1958年生まれ。詩人、比較文学研究者。明治大学大学院理工学研究科〈総合芸術系〉教授。1980年代にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』、マトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』の翻訳を発表。以後、仏・西・英語からの翻訳者として活動すると同時に『コロンブスの犬』(1989)『狼が連れだって走る月』(1994) などにまとめられる批評的紀行文・エッセーを執筆する。本書のもととなった『トロピカル・ゴシップ』(1998)『コヨーテ読書』(2003)『オムニフォン<世界の響き>の詩学』(2005) はポストコロニアル多言語世界文学論の先駆として高く評価されている。2011年、『斜線の旅』にて読売文学賞受賞。2010年の第1詩集『Agend’Ars』以後、8冊の日本語詩集と1冊の英語詩集を刊行。20ヵ国以上の詩祭や大学で招待朗読をおこなってきた。2021年、多和田葉子ら14名による管啓次郎論を集めた論集Wild Lines and Poetic Travelsが出版された。

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