もう一人の吾行くごとし秋の風 村次郎 選詩集

もう一人の吾行くごとし秋の風

村次郎選詩集

えんえんと歩き観察する、幻の詩人

書誌情報

定価
1,980 円(税込)
ジャンル
刊行日
2018年10月30日
判型/ページ数
四六判 並製 160ページ
ISBN
978-4-86528-214-6
Cコード
C0095
装幀・装画
五十嵐哲夫/装幀、八戸ブックセンター/企画

内容紹介

八戸・鮫に生まれた詩人・村次郎。伊東静雄、中村真一郎、芥川比呂志、白井浩司らと交遊し、堀田善衛の小説にも登場している。彼の『全詩集』から詩人・管啓次郎が心打たれた70篇をセレクション。
「彼の前にはいつも彼自身が歩いているようだった。彼が残した言葉が、今帰ってきた。」

本書は、下記イベントの連動企画として刊行しました。
八戸ブックセンターギャラリー企画
「紙から本ができるまで展 村次郎×管啓次郎×五十嵐哲夫×三菱製紙八戸工場」
2018年10月27日(土)〜 2019年1月27日(日)

 



❖本文より
「原」
  なぜこんな虫に 心ひかれるのだ
  なぜこんな風に 心みだされるのだ
  風がふき 虫のなく原のなか
  風がふき 虫がよろけ 僕の心もよろけ
  風の原 虫の原 原のなかのまんなか
  風がふき また別の風がふき
  虫がなき また別の虫がなき
  ああ 原にゐて 地に立ってゐて
  なぜこの空が おもいのだ
  夕映のさふらんいろが 空氣がくるしいのだ
  風がふき 虫のなく原のなかのまんなか
  風ふけ 虫なけ 原のなかのまんなか

目次

村次郎 選詩集
村次郎を発見しよう 管啓次郎

『もう一人の吾行くごとし秋の風 村次郎 選詩集』に関する情報

著者プロフィール

村次郎 (ムラ・ジロウ)

1916−1997年。詩人。本名・石田實。慶応義塾大学フランス文学科卒業。生前刊行された詩集は『忘魚の歌』(1947年)『風の歌』(1948年)の二冊のみ。1952年以後、家業である旅館石田家(八戸市鮫)の経営に専念するため発表を断ったが、その後も未刊詩集のための創作を続けていた。没後、「村 次郎の会」により『全詩集』が刊行された(2011年)。

管啓次郎 (スガ・ケイジロウ)

1958年生まれ。詩人、比較文学研究者。明治大学大学院理工学研究科〈総合芸術系〉教授。1980年代にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』、マトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』の翻訳を発表。以後、仏・西・英語からの翻訳者として活動すると同時に『コロンブスの犬』(1989)『狼が連れだって走る月』(1994) などにまとめられる批評的紀行文・エッセーを執筆する。本書のもととなった『トロピカル・ゴシップ』(1998)『コヨーテ読書』(2003)『オムニフォン<世界の響き>の詩学』(2005) はポストコロニアル多言語世界文学論の先駆として高く評価されている。2011年、『斜線の旅』にて読売文学賞受賞。2010年の第1詩集『Agend’Ars』以後、8冊の日本語詩集と1冊の英語詩集を刊行。20ヵ国以上の詩祭や大学で招待朗読をおこなってきた。2021年、多和田葉子ら14名による管啓次郎論を集めた論集Wild Lines and Poetic Travelsが出版された。

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