コロナ時代の哲学 大澤真幸THINKING「O」第16号

コロナ時代の哲学

大澤真幸THINKING「O」第16号

死者の権利の剥奪、自由の制限、緊急事態下の国家権力

書誌情報

定価
1,430 円(税込)
電子書籍価格
1,430 円(税込)
ジャンル
シリーズ
刊行日
2020年07月30日
判型/ページ数
四六判 並製 136ページ
ISBN
978-4-86528-286-3
Cコード
C0036
重版情報
2
装幀・装画
松田行正+杉本聖士/装幀

内容紹介

國分功一郎・大澤真幸の緊急対談が実現。 現代で最も注目される哲学者アガンベンは、国民の自由を制限するイタリア政府のコロナ対策を批判し、各国の哲学者たちから強く非難される。 しかし、この発言は「自由をとるか、安全をとるか」という究極の選択を迫られている私たちへの警鐘である。 アガンベンの発言を出発点に、フーコー、アーレント、ベンヤミンなどの思想を横断しながら、コロナ禍に顕在化した、民主主義社会への根本的な問いを考える。

◉大澤真幸の書き下ろし論文掲載 「新しい生活様式」というディストピア、監視国家に対抗するモニタリング民主主義について、社会学、科学、哲学を横断しながら論じる。

 



コロナ後の──あるいはコロナとともにある──世界を民主的で自由なものにするためには、ここに述べたような意味でのモニタリング民主主義が合法化され、擁護され、積極的に支援されていなくてはならない。それは、この社会の神的暴力を導入することである。その神的暴力が、ポストコロナの世界がディストピアへと転ずるのを防ぐだろう。
大澤真幸「ポストコロナの神的暴力」より抜粋

目次

まえがき 〈不可能な世界〉の中から

論文
大澤真幸「ポストコロナの神的暴力」
一 イエスの墓の前で
二 新しい生活様式? それはディストピアだ
三 監視を超えて
四 神的暴力の現代的活用

対談
國分功一郎×大澤真幸「哲学者からの警鐘例外状態、国家権力、死者の権利」
コロナ禍は「世界共和国」への第一歩
無意識化の革命
副産物としての真実
アガンベンの問題提起と炎上
例外状態への警鐘
「生の形式」とアガンベンの行き詰まり
「生の形式」の乗り越えと、身体性への回帰
国家理性と近代国家の誕生
法の内側と外側の境界線

特別付録対談をより深く理解するための文献・ブックリスト 〈キーワード別〉

追悼
大澤真幸「中村哲さんを悼んで 井戸は地下水脈につながっている」

『コロナ時代の哲学 大澤真幸THINKING「O」第16号』に関する情報

著者プロフィール

大澤真幸

大澤真幸 (オオサワ・マサチ)

1958年生まれ。社会学。個人思想誌「THINKING「O」」主宰。『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞を受賞。『自由という牢獄』で河合隼雄学芸賞を受賞。ほかの著書に世界史の謎を読み解いた『〈世界史〉の哲学』「古代篇」「中世篇」「東洋篇」「イスラーム篇」「近世篇」「近代篇1」「近代篇2」のほか、『不可能性の時代』『〈自由〉の条件』『生権力の思想』『可能なる革命』『三島由紀夫 ふたつの謎』『社会学史』『経済の起源』『この世界の問い方』など。共著に『おどろきのウクライナ』『ふしぎなキリスト教』『二千年紀の社会と思想』『ゆかいな仏教』『憲法の条件』『げんきな日本論』など。

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