【通常版・サインなし】Pastel

Pastel

【通常版・サインなし】

はじめてのパステル画、はじめての風景──画家・坂口恭平、第二章開幕

書誌情報

定価
3,300 円(税込)
ジャンル
刊行日
2020年10月30日
判型/ページ数
A4判変形 並製 156ページ
ISBN
978-4-86528-289-4
Cコード
C0071
重版情報
3
装幀・装画
STUDIO峯崎ノリテル・正能幸介/装丁、帆刈一哉/写真、坂口恭平/写真

内容紹介

個展チケット即完売、各界著名人注目、著者SNSで話題沸騰のパステル画集第一弾がついに刊行。畑へと向かう道、江津湖、有明海、そして光と影、色彩、温度、空気……世界を徹底的に観察して描き切ったパステル画を厳選して収録。2020年4月から8月までの風景の記録であり、坂口恭平の変化の記録。

 



僕にはないが、坂口恭平には絵を描く資格がある。
──会田誠(美術家)

遠くて近いあの日の光 目に映るすべてがあたらしかった。
──川内倫子(写真家)



【内容について】
・パステル画126作品を原寸大・フルカラーで掲載
・エッセイ「畑への道」収録(日英バイリンガル)
・著者による各作品紹介



 僕は毎日発見している。風景を。今まで目に入らなかったことにどんどん焦点が当たっている、当たった瞬間に別のものに移動している、それくらい僕は変化している。風景も変化している。パステルをもつ指も変わり、指先はいつも動いている。その動きそのものが興味深いから、止まらない。
 それくらい僕は何も知らない。空の青について何も知らなかった。今はいくつものパステルの色を塗り重ねる。晴れた日にも暗い色が入っている。光と影がそこら中に満ちている。躁鬱病の僕は鬱を忌避し、躁をあっぱれだと思っていた。しかし、晴れた日にはとても強い黒い影が生まれる。頂点があり、どん底があるのではなく、気分の上がり下がりではなく、気分、ムード、感情の、色調があるようなものが、その途端に、僕の内面もエベレストから海溝まであったジオラマが一気に粒子になって崩れ落ちて、ふわふわとそこら中に浮いている大気になった、自分の体が気象になった。線も面も粒子に戻って、そこら中に気配として残っているだけになった。

──「畑への道」より抜粋

目次

『【通常版・サインなし】Pastel』に関する情報

著者プロフィール

坂口恭平 (サカグチ・キョウヘイ)

1978年熊本県生まれ。2001年、早稲田大学理工学部建築学科を卒業。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行う。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。著作に『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)、『TOKYO0円ハウス 0円生活』(河出書房新社)、『独立国家のつくりかた』(講談社)、『モバイルハウス 三万円で家をつくる』(集英社)、『家族の哲学』(毎日新聞出版)、『幻年時代』(幻冬舎)、『まとまらない人』(リトルモア)、『自分の薬をつくる』『中学生のためのテストの段取り講座』(晶文社)、『躁鬱大学』(新潮社)、『土になる』(文藝春秋)、『継続するコツ』(祥伝社)など。近著に『生きのびるための事務』(マガジンハウス)、『その日暮らし』(palmbooks)、『自己否定をやめるための100 日間ドリル』(アノニマタジオ)がある。ほか画集『Pastel』『Water』(左右社)や料理書『cook』(晶文社)など多数。2023年2月には熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催した。2012年から、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービス「いのっちの電話」を自身の携帯電話で続けている。

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