デザイン偉人伝
松田行正
グラフィック・デザインの道を切り拓いた16人の偉人たち!
書誌情報
- 定価
- 2,200 円(税込)
- ジャンル
- 芸術・デザイン・写真
- 刊行日
- 2020年10月01日
- 判型/ページ数
- 四六判変形 並製 328ページ
- ISBN
- 978-4-86528-292-4
- Cコード
- C0070
- 装幀・装画
- 松田行正/ブックデザイン、杉本聖士・倉橋弘/デザイン協力
内容紹介
「デザイン」という言葉が生まれる以前からデザインの偉業は成されていた!トリミングの達人・俵屋宗達、オールオーバーの先駆者・モネなど、偉人たちの手法や着想のヒントを時代背景とともに解き明かす。目からウロコのデザイン史!
本の基本構造をつくったアルド・マヌーツィオ(1450?〜1515)
「アルド・マヌーツィオは、イタリア、ヴェネツィアの出版社兼印刷所アルドゥス工房の主宰者。一五、一六世紀の印刷の隆盛は、それまで修道院の聖職者が独占していた本を一般民衆に広げたところにあった。アルドはこの先頭に立っていた。アルドは、現代の本の世界では当たり前となっていることを、書籍の基本的構造としてはじめて世に示し、一般化させたのだった。それは、聖職者や王侯貴族のものだった本を一般市民に開放したことともいえる。つまり、気晴らしとしての読書の楽しみを知らしめたのだった」
洗練されたグラフデザインで多くの人びとの命を救ったフローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)
「フローレンス・ナイチンゲールは『近代看護教育の母』と呼ばれている。ただし、ナイチンゲールの功績はそれだけではない。ナイチンゲールは統計学者としても知られていた。後述するクリミア戦争に看護婦として従軍したときの詳細な看護記録をもとにつくった報告書で、ひと目でわかる円グラフなどを使い、病院改革につながる説得力のある論を展開したのだった。いわばデザインの力で関係者の重い腰を上げさせたのだ」
デザイナーにもっとも必要とされる「選ぶこと」を芸術の域にまで高めたマルセル・デュシャン(1887-1968)
「建築、プロダクト、グラフィック、あらゆるジャンルのデザイナーにいえることかもしれないが、その仕事の大半は「選ぶこと」に費やされる。「選ぶこと」は雑然とした状況に秩序を与えることだから、デザイナーは、アート・ディレクター、クリエイティヴ・ディレクターなどとも呼ばれる。この「選ぶ」をアート行為のひとつに加え、「選ぶこと」を至高の位置に押し上げたのがマルセル・デュシャンだった」
ほか、16人の偉人たちが登場!
★愛書家必読! 500 年以上前に本の基本構造をデザインしたマヌーツィオ、ページレイアウトに革新をもたらしたマラルメの偉業
★美術史では語られてこなかった長谷川等伯、モネ、デュシャンなど芸術家たちの革新的なデザインを図版をもとに解説!
★人びとの命を救ったナイチンゲールのグラフ、戦時下のパリに明るさをもたらしたシェレのポスターなど歴史デザインから読み解くと新たな発見が!
「デザイン」作業とは、アートのように毎回一から考えるのではなく、先人の功績・知恵を糧に、あるいは利用して、そこにアイデアを積み上げていく。エル・リシツキーいわく「思考の経済学」である。アイデアを高めるために先人の知恵がある。 (本書「はじめに」より抜粋)