水張田の季節

慧眼の研究者として、忙しい家族の一員として、そしてこの〈世界〉のさみしい人間として、柳原さんは日々の歌を刻印し続けている。――黒瀬珂瀾

書誌情報

定価
2,200 円(税込)
ジャンル
刊行日
2023年05月31日
判型/ページ数
四六判 並製 152ページ
ISBN
978-4-86528-369-3
Cコード
C0092
装幀・装画
水谷有里/装画 麻川針/装幀

内容紹介

研究者としての仕事と家庭を行き来しながら詠まれた、気鋭の著者による第一歌集。初期作品から現在まで、現代短歌社賞佳作となった連作「水張田(みはりだ)の季節」を含む344首を収録。

〈栞〉
染野太朗「サンダルと万緑」
樋口智子「春はまた、花を連れてくるから」
黒瀬珂瀾「忙しくって、寂しくて」

〈収録短歌より〉
生きているだけでふたたび夏は来て抜け殻に似た棚のサンダル
それぞれの臓腑に白く降る雪よわれには淡く父には深く
ラスボスとして死の影の差す午後にいっしんで書く勤務報告
おやすみ、と書斎へ向かうこの人も燃えさかる一点をめぐる星
夕凪の汀の喜怒をきらめかす十八度目の冬のむすめは

目次

Ⅰ 花に額づく/ログイン/欲の煮くずし方/蟹の缶詰め/音のない火事/夏富士/冬樹の枝/細く細く/お酒と海と/春の山
Ⅱ ハッピーマンデー、そして火曜日/弥生朔日/ある朝ある夕/車窓/ハスキー
Ⅲ 水張田の季節/春の花殻、夏の蕾/夏風邪/仰ぎみる/立山行/出願の朝/静物/あそび/モノレール
Ⅳ cards/時間/夏の道/手を振る/御在所/追う才/安全装置/そして、近ごろは/フーコーの振り子

『水張田の季節』に関する情報

著者プロフィール

柳原恵津子 (ヤナギハラ・エツコ)

一九七五年東京生まれ、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。二〇〇五年に歌作を開始、りとむ短歌会を経て、未来短歌会陸から海へ欄に所属。白の会などに参加。未来評論エッセイ賞2016。第八回現代短歌社賞佳作。非常勤研究員として研究所勤務(専門は日本語史)。

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