私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない
田中有芽子
穂村弘が見出した奇才がいま、世に放たれる!!
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- ジャンル
- 詩・短歌・俳句・川柳
- 刊行日
- 2023年09月28日
- 判型/ページ数
- 四六判変形 並製 192ページ
- ISBN
- 978-4-86528-388-4
- Cコード
- C0092
- 重版情報
- 2
- 装幀・装画
- 田中有芽子/装画 名久井直子/装幀
内容紹介
この歌集には、普通の人にはまず思いつかないような奇想が充ちている。
怖いからスルーしたい。でも、できない。怖いくせに、いや、怖いからこそ、立ち止まって正体を知りたくなる。その奥にとても大切なものが隠されているように感じるのだ。――穂村弘
奇想に充ちた短歌で「日経歌壇(穂村弘 選)」に100首以上掲載、年間の秀歌にも多数選出のスター歌人として知られる田中有芽子。2019年に刊行し話題を呼んだオンデマンド歌集に、新作「りからん」を加えた新装版。穂村弘による解説も収録。
〈収録短歌より〉
ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日
ぎっしりとセミの抜け殻詰め込んだ軽いトランク持って野を行く
奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数
「共用スペースでは必ず犬を抱くこと」買いに行かなきゃ、犬を。
あのアゲハ小さい頃から何回もおんなじやつに会ってるのかも
100年に一言喋る力持つテディ・ベアそっと抱けば「暑イ」と
すれ違い多き夫よ何回も帰ってくるが行くのを見ない
海と陸出会うはずない命たち一皿に盛ってシーフードサラダ
君たちは名誉レッサーパンダだよ雨の日の午後通知が届く
お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした