「途上国」から問う教育のかたち

「途上国」から問う教育のかたち

国際協力を歩く、フィールドの声を聴く

国際協力の現場から考える、教育の未来

書誌情報

定価
3,500 円(税込)
ジャンル
刊行日
2025年01月27日
判型/ページ数
四六判 並製 256ページ
ISBN
978-4-86528-453-9
Cコード
C0036
装幀・装画
松田行正 ┼ 山内雅貴/装幀

内容紹介

「途上国」における国際協力の現場を歩き、教育の新しいあり方を考える。

「途上国」とされる国において、国際的な開発目標や教育政策が現場に与える影響はいかなるものなのだろうか。
また、当事者たちは教育の価値をどのように捉えているのだろうか。
アジア・アフリカ・中東などでの丹念なフィールド調査から見えてきた、教育現場の多様な現実。
地域社会固有の文脈を重視した観点からより良い教育とは何かを探る。


本書では、「途上国」ゆえに受ける「国際協力」という介入の影響下にある教育事象に焦点を当て、教育という制度や学びの場が創造される過程や、人びとの教育に対する認識を探っている。そこからみえてくることは、同時代に生きる異なる国/地域の人びとが、どのようにより良い教育を模索しているのかということであり、その「かたち」がいかに多様であるか、ということである。(「まえがき」より)


学校教育は万人にとって有益であるという思い込みがあるが、中等教育以降になると社会的環境によっては、必ずしもそうではない場合があり、懐疑的であるべきことを教えてくれている。現在の国際的な潮流は、学校での就学期間を少しでも延ばすことが目的化している面があるが、その先には何があるのだろうか。この道を進めば、人々は幸せになれるのだろうか。グローバルな開発目標が設定され、各国、各地域のローカルな文脈が軽視されているように思える。(「まとめにかえて」より)

目次

まえがき(小川未空)

第一部 教育の機会をまもる
第一章 ケニアのスラムにある低学費私立学校の運営と教師の生活 —厳しい環境の中で学校が存続する理由—(澤村信英)
第二章 マレーシアにおける将来が不確実な都市難民の子どもへの教育—学習センターに携わる留学生に着目して—(金子(藤本)聖子)
第三章 南アフリカ共和国を事例に教育の普遍化と格差を考える—現実の社会を生きる人の「声」をもとにして—(坂口真康)

第二部 教育政策にゆらぐ
第四章 ヨルダンの教育統合政策はシリア難民家庭に何をもたらすか —公立校に通うシリア人生徒とその家族の視点から—(ガラーウィンジ山本 香)
第五章 ウガンダ北部における難民受入地域への初等教育支援の役割と課題—当事者の視点に注目して—(坂上勝基)
第六章 マラウイの初等教員政策と教育の質について—教員養成課程の改定が与えた影響を中心に—(川口 純)
第七章 ウガンダの月経対処支援とシニア・ウーマン・ティーチャー—生徒の視点、教員の視点—(杉田映理)

第三部 生活の文脈からえらぶ
第八章 ケニアにおける中等教育から高等教育への移行—家族・友人・恋人との関係からみる女子学生の選択—(小川未空)
第九章 中国に留学したガーナ人学生の帰国意志と頭脳循環—大学院で学位を取得した高学歴者に着目して—(羅 方舟)
第十章 マダガスカルにおける学習成果の再考 —学校関係者からみたディーセント・ワークとディーセント・シティズンシップ—(ラスルナイヴ、アンドリアマナシナ ルズニアイナ/アンドリアリニアイナ、ファナンテナナ リアナスア)
第十一章 ヴァヌアツとマダガスカルにおける学歴認識の差異をめぐって—生業観との関連で—(白川千尋)

まとめにかえて(澤村信英)
あとがき(杉田映理)

執筆者紹介

『「途上国」から問う教育のかたち』に関する情報

著者プロフィール

小川未空 (オガワ・ミク)

大阪経済大学国際共創学部・講師。
著書に、『SDGs時代にみる教育の普遍化と格差—各国の事例と国際比較から読み解く—』(共編著、明石書店、2023年)、『ケニアの教育における格差と公正—地域、学校、生徒からみる教育の質と「再有償化」—』(単著、明石書店、2020年)。

杉田映理 (スギタ・エリ)

大阪大学大学院人間科学研究科・教授。
著書に、『国際協力を学ぶ人のために』(共編著、世界思想社、2024年)、『月経の人類学—女子生徒の「生理」と開発支援—』(共編著、世界思想社、2022年)。

澤村信英 (サワムラ・ノブヒデ)

大阪大学大学院人間科学研究科・教授。
著書に、『SDGs時代にみる教育の普遍化と格差—各国の事例と国際比較から読み解く』(共編著、明石書店、2023年)、『世界の学校—グローバル化する教育と学校生活のリアル』(分担執筆、学事出版、2023年)など。

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