とてもしずかな心臓ふたつ
村上きわみ
なつかしい未来 あなたともう一度にくんだりあいしあったりしたい
書誌情報
- 定価
- 2,530 円(税込)
- ジャンル
- 詩・短歌・俳句・川柳
- 刊行日
- 2025年06月30日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 264ページ
- ISBN
- 978-4-86528-478-2
- Cコード
- C0092
- 装幀・装画
- 錦見映理子/編集 石の人/写真 名久井直子/装幀
内容紹介
短歌ブーム前夜の2000年代初頭、インターネット上に彗星のように現れた歌人・村上きわみ。歌集未収録作品をあらたに編集した『とてもしずかな心臓ふたつ』、絶版歌集『fish』『キマイラ』を一冊にまとめた決定版。
別冊栞 村上きわみ一首評:穂村弘・田中槐・枡野浩一・岡野大嗣・平岡直子
【収録短歌より】
次に来る波をむかえにゆきなさい尾を高くしてわたしのけもの
なつかしい未来 あなたともう一度にくんだりあいしあったりしたい
そうでした 最後に見せてくれたのはこの世のへりをつかむ足指
心臓をまもって歩くけものたち(夏のいのちはいたみやすいね)
靴紐をきつく結んだ 好きでいることを謝りたいひとがいる
白湯で溶く蜜のぬめりのどんなにかくるしいだろう ふゆがはじまる
水の襞ひどく乱して白鳥は今いっしんに飛び立つところ
欲望、おまえが口にするときの奇妙な涼しさを信じよう
灯台の胴に巻きつく海風の、そうだね、すべてくつがえしたい
こちらからあちらの岸へ にくたいはすずしい舟とあなたは言った
よいつらら育つ真冬をありがとう ひどいことたくさんありがとう
魚の声鳥のことばでかわしあう約束ならば未来のために