思い出すときには、すべてのものがまるくなっていてくれ
大前粟生:著
「恋愛がわからない」夏莉を中心に、もがき、揺れ動き、葛藤する高校生たちの心の機微を描いた傑作青春群像劇!
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- 電子書籍価格
- 1,870 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2026年06月26日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 216ページ
- ISBN
- 978-4-86528-525-3
- Cコード
- C0093
- 装幀・装画
- 森敬太(合同会社飛ぶ教室)/装幀、いとうひでみ/装画
内容紹介
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社)や『きみだからさびしい』(文藝春秋)など、次々と話題作を刊行し、2026年にデビュー10周年を迎えた作家・大前粟生の最新作。
傷つけず、傷つかず、私が私でいるにはどうしたらいいんだろう――
「わかんないんだよ、恋愛感情とか、そういうのさ」
「嘘ばっかだ。だって先輩、普通そうに見える」
「普通ってなに」
「ほんとに恋とか好きとかわかんないんだったら、もっと苦しそうにしててよ」
「はああ?」
恋愛がわからないことに、そういう話題に乗れないことに、引け目とさびしさを感じながら日々をやり過ごす高校2年生の夏莉(なつり)。そんな夏莉に思いを寄せる、幼馴染のみお丸。みお丸に告白しフラれた後輩のなずなは、夏莉のことを敵視するようなそぶりを見せるが……。
そんななか、「男として」消費される立場に疲れ、夏莉のクラスに転校してきた活動休止中のアイドル・カジュ。教室でコンパスを振り回す事件を起こし、3年になってから学校に来るようになった近田。近田を毛嫌いし、己の正義感を振りかざす田井中。
同じクラスにならなければ交わることのなかった高校生たちが、もがき、揺れ動き、葛藤する姿を描いた傑作青春群像劇!
【大前粟生デビュー10周年記念! 歴代担当編集者による推薦コメント】
もしかして自分って“普通”じゃないのかも。そんな不安を包み込んでくれる小説だと感じました。まるくなっていても、いなくても、思い出を抱きしめて、だれもがほがらかにやっていけたらと願ってしまいました。(幻冬舎・黒川美聡)
母との穏やかな時間や、ままならない他者との境界線。揺れ動く日々のなかで、それでも「私は私だ」と自分を肯定しようとする夏莉たちの姿に救われる。こわばっていた世界が少しだけ「まるく」見える、青春群像劇。(書肆侃侃房・池田雪)
大人が読んでも、未消化だったあの頃の感情を、誰かに話せたような気持ちになると思います。もしタイムスリップできるなら、十代の自分に絶対に読んでおけ!と手渡したいです。(双葉社・田中沙弥)
私はただの私で、あなたはただのあなたで、それぞれ違っている――そんな当たり前を受け入れることは、大人になった今でも難しい。この作品は、「ただの自分」でいられないしんどさを静かにほどいてくれる。「ただそこにいる」自分や誰かを見つめること、思い出すことそれ自体が、たしかな力を持っていると信じさせてくれる。(河出書房新社・戸床奈津美)
