山下澄人エッセイ集 猫が動く、何かはじまる
山下澄人
読んだ人から書きたくなる
書誌情報
- 定価
- 2,200 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2026年08月25日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 192ページ
- ISBN
- 978-4-86528-528-4
- Cコード
- 0095
- 装幀・装画
- 装画/山下澄人 装幀/川名潤
内容紹介
作られたものがそこになければ起きなかったことが起きる。俳優、芥川賞作家・山下澄人初のエッセイ集にして、すべての人にひらかれた創作論。つくる、みる/みられる、本、問答、記憶、猫ーー「わたし」の「からだ」を通して生きること、表現することの歓びを取り戻すための59篇。
「表現」には恥ずかしいとかみっともないとか、面倒くさいとか無駄だとか、だから「やりたくない」とか、謎の鍵がかかっている。だけどそれは元々あった鍵じゃない。自分でかけたわけでもない。どこかで誰か人間にかけられた。
鍵が外れてやってみたら、楽しくない人間がいるとはわたしは到底思えない。(「誰でもできる、やってみる」より)
「書けるかな」
とわたし。
「書ける書ける」
と森田さん。
「Aって書け。書いた?そしたら はい台詞、五行ぐらい」
わたしは書いた。
「書けたら次はBと書いて、セリフ。五行ぐらい」
わたしは書いた。
「あとは好きにやれや」
好きにやった。表裏書いたら「見せろ」というから見せたら読まずに眺めただけで
「いいねぇ。才能あるねえ」
この一言でその後が決定した。それから三十年以上、わたしは今も書いている。
(「適当なひと言」より)
