序
第一部
第1章 ピエール=ジュール・エッツェルとロマン主義時代の出版界 —デビューから『教育と娯楽誌』の創刊まで
1 編集者とはなにか —「文学的存在性」または近代文学の両義性
2 挿絵はいかにして編集者を編集者たらしめたか
3 エッツェルのデビュー
4 〈人間喜劇〉の編集者エッツェル
5 政治の季節
6 『教育と娯楽誌』の創刊(一八六四年)
第2章 ヴェルヌとエッツェルの共同作業のメカニズム
1 ヴェルヌとエッツェルの共同作業における「分冊」の役割の変化 —ある編集システムの成立
2 「システム」の成立
2−1 〈驚異の旅〉の刊行開始まで
2−2 「システム」の成立(その二)—挿絵は誰のものか
2−3 「システム」の成立(その三)—困難な離陸
2−4 「システム」の成立(その四)—テクストとイメージの統一性を求めて
第3章 〈驚異の旅〉の舞台裏
1 執筆方法と介入様態の変化(一)—普仏戦争以前
2 執筆方法と介入様態の変化(二)—普仏戦争以後
3 往復書簡—共同作業のための距離
インタルード 〈驚異の旅〉という運動
第二部
第4章 物語と過剰
1 カニバリズム—『チャンセラー号』における現在形の描写と書くことの現場
2 カニバリズムと恋愛—『グラント船長の子供たち』
3 恋愛と政治—『ミシェル・ストロゴフ』
4 恋愛と読者—『燃える多島海』または「組み合わせ小説」とはなにか
5 未来文明への不安—『黒いインド』
6 否定されたオリジナリティとしての未来都市—『ベガンの五億フラン』
第5章 進歩に対する不安と日常の除外
1 科学の不安—『チャンセラー号』
2 知の世俗化
2−1 知の世俗化(一)—アクチュアリティと禁断の知(『地球の中心への旅』)
2−2 知の世俗化(二)—『地球の中心への旅』
3 日常の除外
3−1 日常の除外(一)—時空的近接の危険性、あるいは全員と意見を一致させること(『マチアス・サンドルフ』)
3−2 日常の除外(二)—『ミシェル・ストロゴフ』とロシアの政治的圧力
3−3 日常の除外(三)—誰でもない人の国籍
第6章 全体化と局所性 —〈驚異の旅〉における超越性と偶然
1 十九世紀西欧文学におけるイデオロギー装置としての気球
2 失効する局所性と摂理の方法的世俗化—『グラント船長の子供たち』
3 小説の主人公としての編集者—『マチアス・サンドルフ』とそれ自体局所的な地域の局所的要素
エピローグ
あとがき
年譜/書誌/註/人名索引