【図書新聞】徳宮俊貴さんによる『未来のための終末論』の書評が掲載されました
『図書新聞』(2023年12月9日号)にて、人文科学研究者である徳宮俊貴さんによる大澤真幸、斎藤幸平『未来のための終末論』の書評が掲載されました。以下、一部抜粋です。
対談の成果をとりいれつつ、そこにとどまらぬ博覧強記と明晰な思考をもって書き下ろされた最新論文がおさめられるという構成は、大澤の個人思想誌『TIHINKING O』第19号にあたる本書でも健在。見田の『時間の比較社会学』(岩波現代文庫、2003年=真木名義)を土台に、時間論を経由しながら展開していく。見田によれば、近代すなわち資本主義は利潤を無限に追い求める成果主義の社会である。脱成長路線は一方で未来の結果よりも現在の充足を志向するけれど、他方で人類や地球の将来をシュミレーションする能力自体は資本主義のもとではじめて獲得されるわけだ。この二律背反をどう総合するか。歴史の因果関係から切りはなされた〈今の時〉というヴァルター・ベンヤミンの概念を踏まえて、大澤は「裏返しの終末論」を提唱する。(中略)資本主義の「その先」を考えるうえで本書が示唆に富むことはまちがいない。
素敵な書評をありがとうございました。