論考・作品解説・講演・インタビューのみならず、 対談や鼎談、多木浩二らによる批評をも組み込み、 作品概要図面、年譜なども添えた全4部。
書誌情報
- 定価
- 2,970 円(税込)
- ジャンル
- 建築・理工・自然科学
- 刊行日
- 2019年12月01日
- 判型/ページ数
- A5判 並製 342ページ
- ISBN
- 978-4-86528-259-7
- Cコード
- C0052
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
私たちの身体の感受性を基点に、ひらかれたコミュニケーションを通じて、 明るく柔らかい空間をつくり続けて来た建築家・長谷川逸子。 時代を画する幾多の作品によって建築界に大きな影響を与えてつづけてきた世界的建築家の、 半世紀におよぶ思考の軌跡を鮮やかに描き出す著作集を刊行します。 論考・作品解説・講演・インタビューのみならず、 対談や鼎談、多木浩二らによる批評をも組み込み、 作品概要図面、年譜なども添えた全4部。
長谷川逸子は住宅作家ではない。日本最初期の女性建築家である。
その言葉も感覚的でありつつ、現代社会への鋭いクリティークとなり得ている。──伊東豊雄
「長い距離」「ガランドウ」「第二の自然としての建築」。
気が付くと長谷川逸子の言葉を脇に抱えている。
そんな建築家は、私以外にも実は沢山いるのではないだろうか。──藤原徹平
相対立するもの、矛盾するもの、そして自然すらも排除しない。
力強く、やさしく、寛容な建築を目指して、長谷川さんは皆とともに前へ進んでいく。──大西麻貴
「長谷川逸子の思考」第2部では、大型プロジェクト〈新潟市民芸術文化会館〉(第1部参照)と同時進行していた公共建築と集合住宅をめぐるテキストを収録。ゲリラ的な市民ワークショップの実施など踏み込んだ運営プログラムづくりを展開した〈すみだ生涯学習センター〉や〈大島絵本館〉。竹かごのように空間を包む3つの鉄骨ドームがコミュニケーションを誘発する〈山梨フルーツミュージアム〉。コミュニケーション装置としてのスロープをめぐらせ共同体意識を再構成する集合住宅のプロジェクト(〈熊本市営託麻団地〉〈長野市今井ニュータウン〉)。
多様な作品をテーマに書かれた論考やインタビュー、坂本一成・松永安光らとの対話や、多木浩二らの批評から、長谷川逸子が一貫して掲げて来た「はらっぱ」のイメージが描く、祝祭空間と日常が緩やかにつながる建築の理想の姿が見えてくる。