一人芝居[かもめ舎川柳新書]|金子喜代
A型にぐるり囲まれ残暑かな
さびしさを見ぬかれそうで手を隠す
蝿一匹叩き落として独りなり
さびしさを見ぬかれそうで手を隠す
蝿一匹叩き落として独りなり
心の傷から発するマイナスのエネルギーは作句の強い動機となり、指を口に突っ込んで吐き出すくらいの勢いで胸に溜めた思いを作品にしてゆく。
もくじ
一幕 蜉蝣 薄ら氷
二幕 汽車ぽっぽ 蜘蛛
三幕 ジオラマ 喉仏
解説
金子喜代
1957年山形県生まれ。国立音楽大学声楽科卒業。中野文擴、時実新子に師事する。現代川柳かもめ舎会員、現代川柳研究会会員。2012年度「鴎盟大賞」受賞。第一回「現代川柳」作家賞大賞受賞。