生きていること 動く、知る、記述する

《人類が生きることを取り戻すために》

書誌情報

定価
4,950 円(税込)
電子書籍価格
4,620 円(税込)
ジャンル
刊行日
2021年11月10日
判型/ページ数
四六判 上製 604ページ
ISBN
978-4-86528-037-1
Cコード
C0039
装幀・装画
松田行正+杉本聖士/装幀

内容紹介

ひとが生きるということ、それはこの世界の終わりなき流動のなかに身を置き、世界を変えながら自らも変わり続けてゆくことだ。
芸術・哲学・建築などのジャンルと人類学の交わるところに、未知の学問領域を切り拓いてきたインゴルド。その探究を凝縮する主著、待望の邦訳!【大澤真幸、磯野真穂、佐藤卓推薦】



生きることと知ることは完全にひとつになる。この本を読めばそれがわかる。──大澤真幸(社会学者)

あなたの生に出逢うため、世界という命に己を浸せ。そして「共に」運動せよ。──磯野真穂(文化人類学者)

この本で人類学は、これからのデザインの視座になった。──佐藤卓(デザイナー)

 



私の探究を人類学ではなく、芸術や哲学、建築といったジャンルなのではないかという人もいる。
だが私は人類学者である。
なぜならあらゆる注意を払い、動くこと、知ること、記すことを通じて世界に向かって生きながら、生きていることそのものを探求するのが人類学者だから──。

 



地面とはいかなる場か、線を引くとはどういうことか、板を挽くとき職人たちは何をしているのか、大地・天空と応答すること、散歩することと物語ること、観察するとはどういうことか。 さまざまな問いから、人類学や哲学が取り逃してきた〈生きること〉の姿をみつけ、〈生を肯定する人類学〉の可能性と価値を擁護する。インゴルドの豊穣なるアイデアのすべてを込めた「Being Alive」、いよいよ刊行!

目次

序文、および謝辞
プロローグ1 生に還る人類学
第一部 地面を切り拓く
2 素材対物質
3 地面の文化 足を通して知覚される世界
4 板を歩く 技術に熟練する過程を考える
第二部 メッシュワーク
5 動くものを再考すること、思考を再び動かすこと
6 点・線・対位法 環境から流動空間へ
7 アントがスパイダーと会うとき 節足動物のための社会理論
第三部 大地と天空
8 大地のかたち
9 大地、天空、風、そして気象
10 ランドスケープか気象世界か
11 サウンドスケープ概念に対する四つの反論
第四部 物語られた世界
12 空間に逆らって 場所、動き、知識
13 分類に逆らう物語 輸送・散歩・知識の統合
14 物語ることとしての名づけ アラスカのコユコン族が動物について話すこと
第五部 線描すること、つくること、書くこと
15 Aという文字の七つのヴァリエーション
16 精神の歩き方 読むこと、書くこと、描くこと
17 つくることのテクスティリティ
18 線を束ねる 行なうこと、観察すること、記述すること
エピローグ19 人類学はエスノグラフィーではない

解題|生きている世界へのまなざし(野中哲士)
謝辞
索引/文献一覧

『生きていること 動く、知る、記述する』に関する情報

著者プロフィール

ティム・インゴルド (インゴルド、ティム)

1948年英国バークシャー州レディング生まれ。社会人類学者。トナカイの狩猟や飼育をめぐるフィンランド北東部のサーミ人の社会と経済の変遷についてフィールドワークを行なう。線という観点からあらゆるものを捉えなおす『ラインズ 線の文化史』(原著2007)、手の仕事を通じて人類学を編みなおす『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』(原著2013)のほか、『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(原著2015)、『人類学とは何か』(原著2018)、未邦訳の著書としてThe Appropriation of Nature(1986)、アカデミズムにおける進化の概念を俯瞰するEvolution and Social Life(1986)、世界の知覚のあり方を問い直すThe Perception of the Environment(2000)などの著書がある。

柴田崇 (シバタ・タカシ)

1969年生まれ。北海学園大学人文学部英米文化学科教授。メディア論、技術思想史、生態心理学。主な著書に、『マクルーハンとメディア論身体論の集合』(勁草書房、2013年)、『サイボーグ:人工物を理解するための鍵』(東京大学出版会、2022年)がある。【監訳/第一部】

野中哲士 (ノナカ・テツシ)

1972年生まれ。神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授。生態心理学と人類学の学際領域を専門とする。「身体環境系における柔軟な行為制御の研究」で日本学術振興会賞を受賞。著書に『具体の知能』(金子書房、2016年)ほかがある。【訳者解題、監訳序文および謝辞、プロローグ、第五部第17章】

原島大輔 (ハラシマ・ダイスケ)

1984年生まれ。早稲田大学次世代ロボット研究機構研究助手。基礎情報学、表象文化論。著書に『AI時代の「自律性」未来の礎となる概念を再構築する』(共著、勁草書房、2019年)、『基礎情報学のフロンティア人工知能は自分の世界を生きられるか?』(共著、東京大学出版会、2018年)などがある。【監訳/第三部】

青山慶 (アオヤマ・ケイ)

1979年生まれ。岩手大学教育学部准教授。発達心理学、生態心理学。著書に『知の生態学的転回1身体:環境とのエンカウンター』(共著、東京大学出版会、2013年)、『家庭における活動と学び身体・ことば・モノを通じた対話の観察から』(共著、明石書店、2021年)がある。
ティム・インゴルド『生きていること』【監訳/第四部】

佐古仁志 (サコ・ヒトシ)

1978年生まれ。東京交通短期大学専任講師。生態記号論。東京交通短期大学専任講師。主な著書・論文に「生成へと到る旅路:哲学と心理学の〈あいだ〉の人類学者ティム・インゴルド」(『江戸川大学紀要』第30号、2020年)、「批判的常識主義に基づくパースの知覚論」(『叢書セミオトポス15』日本記号学会編、2020年)などがある。【第二部】

柳澤田実 (ヤナギサワ・タミ)

1973年生まれ。関西学院大学神学部准教授。哲学、キリスト教思想。編著書に『ディスポジション哲学、倫理、生態心理学からアート、建築まで、領域横断的に世界を捉える方法の創出に向けて』(現代企画室、2008年)ほかがある。【第五部第15章、第16章、第18章、第19章】

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