建築を愛する人の十三章
香山壽夫
建築は、私たちをひとつにしてくれる
書誌情報
- 定価
- 1,870 円(税込)
- 電子書籍価格
- 1,760 円(税込)
- ジャンル
- 建築・理工・自然科学
- シリーズ
- 放送大学叢書
- 刊行日
- 2021年10月29日
- 判型/ページ数
- B6判 並製 256ページ
- ISBN
- 978-4-86528-043-2
- Cコード
- C0352
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
家族を支える「大黒柱」、目は心の「窓」、私たちを守り、ひとつに包む「壁」、「門」は招き誘い、また拒む──。
私たちが住み、ともに暮らす空間=建築とはなんだろうか。劇場や学校、公共施設を中心に第一線で活躍し続ける建築家・香山壽夫が、建築を愛するすべての人にわかりやすく語りかける建築の真髄。新たな章を増補した新装版登場。
十二の章にわたって、建築の面白さ、大切さについて考えてくると、改めて、ひとつのことに気付く。それは、建築が、私達のいつも話したり、書いたりしている言語と同じく、私達の毎日の生活の中で、自分の気持ちを表わしたり、それを互に確かめあったりするはたらきをしているということだ。すなわち、建築のかたちというものが、人間の用いる様々な言葉のひとつである、というあたり前のことに気が付くのである。
この本の最初の章で、私は「建築は、いつも静かに、黙している」と書いた。建築は確かに、私達が普通に用いている言葉と同じ言葉で語っているわけではない。絵画や音楽と同じ言葉を用いているわけでもない。しかし、建築は建築独自の言葉を持っている。その独自の言葉で、建築は語りかけている。私達を、ひとつにつなぐ、大切な言葉で、語りかけている。そのことをこの章で、考えてみたい。
(第十三章「建築は語りかける」より)