マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望

マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望

2017年1月に逝去したイギリスの批評家マーク・フィッシャー──『資本主義リアリズム』で世界に絶望的な衝撃を与えた著者による、最後の言葉。

書誌情報

定価
2,970 円(税込)
ジャンル
刊行日
2022年07月30日
判型/ページ数
四六判 上製 384ページ
ISBN
978-4-86528-096-8
Cコード
C0010
装幀・装画
川添英昭/ブックデザイン

内容紹介


ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで行われた最終講義を書籍化。
社会主義、コミュニズム、カウンターカルチャーはなぜ失敗したのか。
資本主義のオルタナティヴは本当に存在しないのか。
ポスト資本主義の世界における「欲望」と、左派加速主義が示そうとした資本主義のその先……
マルクス、フロイト、マルクーゼ 、ルカーチ 、リオタール 、ドゥルーズ&ガタリを架橋しつつ、学生たちの対話から、現代のディストピアから脱出する道を探る。


フィッシャーは資本主義を乗り越えた先を指し示した。だから赴こう、私たちはそこへ
── 木澤佐登志
「カウンター」が存在しえない世界に「カウンターカルチャー」をいかに思い描くか。マーク・フィッシャーが歩んだ細く壊れやすい思考の道が途絶えたこの場所から、私たちの新たな探索は始まる。
──若林恵

 



各講義で取り上げられる内容
◆第1講:アレックス・ウィリアムズ-ニック・スルネック、ポール・メイソン、ギブソン・グラハムの考え/左派(左翼)のメランコリー/左派加速主義の再解釈/非資本主義的な経済モデル
◆第2講:マルクーゼ 『エロス的文明』/マルクーゼ のフロイト&マルクス解釈/労働者の死への衝動(欲動)/エレン・ウィリスとカウンターカルチャー/コミューンの失敗と「家庭リアリズム」
◆第3講:ルカーチ 『歴史と階級意識』/階級意識の立ち上げ/ブルジョワジーの限界とプロレタリアートの可能性/ハートソック『あるフェミニズム的立場』/
◆第4講:ジェファーソン・カウィー『ステイン・アライブ 1970年代と労働者階級最後の日々』/労働者たちの運動の失敗──30年代と70年代の関係/ニクソンを支持した労働者階級/トランプが操作した「階級意識」
◆第5講:リオタール『リビドー経済』とマルクス解釈/原始主義に対する批判/リオタール と『アンチ・オイディプス』との比較/資本主義の外部は存在しない

 

【ダ・ヴィンチ】『ポスト資本主義の欲望』書評掲載
【図書新聞】飯盛元章さんが『ポスト資本主義の欲望』をご紹介
【表現者クライテリオン】田中孝太郎さんが「ポスト資本主義の欲望」をご紹介

目次

テキストについての注記

第1講 ポスト資本主義とは何か?
第2講 「ほとんど想像もつかない規模の社会的・心理的革命」
予兆としてのカウンターカルチャーボヘミアン
第3講 階級意識から集団意識へ
第4講 組合の力とソウルの力
第5講 リビドー的マルクス主義

編者解説 悲惨な月曜の朝はもうたくさんだ マット・コフーン
訳者解説 大橋完太郎

付録1 講義シラバス
付録2 トラックリスト「悲惨な月曜の朝はもうたくさんだ」

『マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望』に関する情報

著者プロフィール

マーク・フィッシャー (フィッシャー、マーク)

1968年生まれ。イギリスの批評家。ウォーリック大学で博士号を取得した後、英国継続教育カレッジ、およびゴールドスミス・カレッジ視覚文化学科で客員研究員・講師を務める。自身のブログ「k-punk」でカルチャーや音楽を通じて、社会に対して鋭い眼差しを投げかけ、熱狂的な読者を獲得した。
ヨーロッパで広く注目された『資本主義リアリズム』(堀之内出版、2018/ 原著: John Hunt, 2009)のほか、著書に『わが人生の幽霊たち―うつ病、憑在論、失われた未来』(Pヴァイン、2019/ 原著:Zero Books, 2014)、The Resistible Demise of Michael Jackson(2009)、The Weird and the Eerie(2017)がある。2017年1月逝去。

大橋完太郎 (オオハシ・カンタロウ)

1973年生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。東京大学大学院超域文化科学専攻表象文論コース博士後期課程修了。博士(学術)。専門はフランス哲学(美学・感性論)、表象文化論。
著書に『ディドロの唯物論』(法政大学出版局、2011)、編著に『他者をめぐる人文学 グローバル世界における翻訳・媒介・伝達 Adaptation, Mediation and Communication of Otherness in a Globalizing World: Perspectives from Japan』(トーマス・ブルックと共編、神戸大学出版会、2021)、訳書にリー・マッキンタイア『ポストトゥルース』(人文書院、2020)、ジャック・デリダ『スクリッブル』(月曜社、2020)など。

マット・コフーン (コフーン、マット)

ライター、写真家。著書にEgress: On Mourning, Melancholy and Mark Fisherがある。ブログ:xenogothic.com

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