【表現者クライテリオン】田中孝太郎さんによる『ポスト資本主義の欲望』の書評が掲載されました
『表現者クライテリオン』2023年1月号(2022年12月16日発売)の書評コーナーにて、田中孝太郎さんに、フィッシャー『マーク・フィッシャー最終講義 ポスト資本主義の欲望』をご紹介いただきました。
以下一部抜粋です。
著者はおそらく、「ポスト資本主義」の中心に「ポスト労働社会」を据えようとしている。ここで問題とされる「労働」とは欠乏と抑圧が根底にある、苦痛を伴う労働のことだ。ヒッピーに不可欠であったドラッグには否定的であるものの、既存の価値体系を相対化しようとする彼らの精神性は肯定しているように見える。(中略)著者は別の本で、資本主義リアリズムのもとでは心の病が蔓延すると述べたが、その事実は著者自身の鬱病と自死によって示されてしまった。本書でしばしば言及される、資本主義プロセスの高速化によって資本主義を乗り越えるという「加速主義」がこうした犠牲を伴うものだとすれば、我々は別の方向性を探るべきだろう。
素敵な書評をありがとうございました。