論考・作品解説・講演・インタビューのみならず、 対談や鼎談、多木浩二らによる批評をも組み込み、 作品概要図面、年譜なども添えた全4部。
書誌情報
- 定価
- 2,970 円(税込)
- ジャンル
- 建築・理工・自然科学
- 刊行日
- 2019年12月01日
- 判型/ページ数
- A5判 並製 352ページ
- ISBN
- 978-4-86528-258-0
- Cコード
- C0052
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
私たちの身体の感受性を基点に、ひらかれたコミュニケーションを通じて、明るく柔らかい空間をつくり続けて来た建築家・長谷川逸子。菊竹清訓事務所、東工大篠原一男研究室を経て独立、抽象的にまで切り詰めた空間構成による初期の住宅作品をはじめ、戦後はじめての大型公共建築コンペを、建築そのものを地面に埋めるという前衛的な案で制し、こうした施設を日本ではじめて女性建築家が手がけること、たびかさなる住民集会、太田省吾の芸術監督招聘など竣工まで話題を集めつづけた〈湘南台文化センター〉。オーブアラップと協働した溶接接合の鉄骨ドームにより世界的なライト・アーキテクチャーの潮流を先導した〈山梨フルーツミュージアム〉。大小のホールを緩やかに包み込み、ひらかれた「はらっぱ」としての公共空間を実現した〈新潟市民芸術文化会館〉。
時代を画する幾多の作品によって建築界に大きな影響を与えてつづけてきた世界的建築家の、半世紀におよぶ思考の軌跡を鮮やかに描き出す著作集を刊行します。論考・作品解説・講演・インタビューのみならず、対談や鼎談、多木浩二らによる批評をも組み込み、作品概要図面、年譜なども添えた全4部。
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ITSUKOは、自然と幾何学との合体に挑戦した、勇気あるチャレンジャーである。──隈研吾
日本の女性建築家の道をしなやかに力強く切り開いてきた。
その建築に真摯に向かう姿は清く美しい。──永山祐子
時代の転換点にいつも長谷川逸子の建築があることに驚く。──藤村龍至
「長谷川逸子の思考」第1部では〈新潟市民芸術文化会館〉をめぐる論考、対談やインタビュー、エッセイ、多木浩二や小嶋一浩らの批評などを集成。動線計画から植栽、外周部の太陽光に反応して作動するオーニング、空間のボリュームから手摺りにいたるまでさまざまな工夫が詰め込まれたコンサートホールなど、技術的にも空間的にも長谷川建築の頂点をなし、開館以来の高い稼働率と専属ダンスカンパニーNoismの活動でも知られるこの大型文化施設の経験の全貌を伝える。多数の写真に加え、巻末には本巻関連作品の概要図面を付す。
公共とはなにか。市民参加とは何か。グローバリズムにいかに対峙すべきか。1993年に実施されたコンペによって始まった〈新潟市民芸術文化会館(新潟りゅーとぴあ)〉の経験には、専門技術的な事柄にとどまらず、ひろく私たちの現在に直接つながるいくつもの論点を見いだすことができる。