出会う日

ゆるやかく、転換してゆく日常風景。折々につづられた作品を編む第三詩集。

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書誌情報

定価
1,980 円(税込)
ジャンル
刊行日
2022年10月10日
判型/ページ数
四六判変形 並製 88ページ
ISBN
978-4-86528-336-5
Cコード
C0092
装幀・装画
佐野裕哉/装幀

内容紹介

(収録作品より)

青猫はうなる


  (その眉間ときたら)
  眉をひそめる
  の反対語をもとめて、

  最終バスは行ってしまった
  それともまだ来ていないのか
  市民には知るすべがなく
  じじつじょうひじょうじたい

  うなじに湿気がまとわりつく
  ふおんなかんじ
  前線とか中央とかは
  観念なのであり、

  ね このにおい
  このにおい
  このこのにおい
  このね このにおい

  おいてけぼりだ
  電話に出るのは
  とおいあかるい場所
  何かのコピーが必要と言われた

  墓地のあいだにわたしたちは
  かろうじて住んでいる
  気流がかわると
  空白が散乱しはじめ、

  硬直した
  青猫はうなる
  剝製の目をみひらき
  むおんでうなる

 

i
ななつの海
コットと
根も葉も
朝の手順
青猫はうなる

ii
川ノ図
常世いろはうた
いざゆかん
来るもの
くちびる青く
前触れ
ピザのあれ

iii
サキュバス期
砂が鳴る
水の塔
湖から
いのり
あらゆるものが
はじめましてと言う

『出会う日』に関する情報

唐作桂子 (カラサク・ケイコ)

詩人。
詩集に『断食の月』、『川音にまぎれて』(ともに書肆山田)がある。

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