心の壊し方日記
真魚八重子
兄の死とリボ払いの借金、母の認知症、夫の癌発症、自身の鬱とセルフ・ネグレクト……気鋭の映画批評家である真魚八重子が自身の5年間の体験を苛烈に綴ったはじめてのエッセイ。
書誌情報
- 定価
- 1,980 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2022年10月30日
- 判型/ページ数
- 四六判 200ページ
- ISBN
- 9784865283396
- Cコード
- 0095
- 装幀・装画
- アルビレオ/装幀|西祐佳里/装画
内容紹介
2018年のクリスマスの夜、黒猫を飼いはじめた真魚のもとに10歳違いの兄の訃報が届いた。8年ぶりに疎遠だった実家に戻るとそこはゴミ屋敷となっていた――。
これは彼女だけの物語そしてわたしたちの人生にも共通する話
――植本一子
【本文より】
長文のファックスが届いた。〈中略〉「金属バットで家族を皆殺しにしようと思ったこともあります」などと書かれていた。
***
舅と嫁が言い争いになることはあったとしても、大声をあげて怒鳴りあうのは珍しいと思う。そのうち兄との関係も険悪になっていき、母から電話で聞いたところでは、兄嫁は家の中ですら兄を避けるようになったらしい。台所で兄がいるテーブルを迂回して歩くなど、露骨な嫌悪感を示していたようだ。
***
もし自殺未遂で呆れた夫に離縁されるようなことがあっても、下町の風呂なしの3万くらいの部屋で慎ましく暮らしていけばいい。ゴキブリや変質者が出るかもしれないけれど、そこでも何かしら楽しみは見つけられるだろう。お笑い番組を見ながら、ルマンド3本をつまみに焼酎をコップ1杯チビチビ飲むとか。
※本書は著者本人の主観に基づくものであり、自殺未遂の理由は『映画秘宝』DM事件の被害者とは無関係です
お知らせ:「真魚八重子『心の壊し方日記』に関するご指摘につきまして」2022年11月28日
【朝日新聞】鷲田清一さんが『心の壊し方日記』をご紹介