書誌情報
- 定価
- 4,180 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2023年07月31日
- 判型/ページ数
- 四六判 上製 304ページ
- ISBN
- 978-4-86528-377-8
- Cコード
- C0098
- 装幀・装画
- 松田行正+杉本聖士/装幀
内容紹介
女中たちから料理を教わる台所が隠れ家だった娘時代、
4人の子育てに追われる日々、ギニア、ガーナ、セネガルで出会ったアフリカの味、
作家として名を成し、世界中を飛び回る日々に知った東京のヤキトリ、マグレブのタジン鍋。
料理なんて召使いのすること──。
そんな母の言葉への反発が、文学への情熱と同じくらい熱い、料理への愛を気づかせてくれた──。
2018年ノーベル文学賞に替わるニュー・アカデミー賞を受賞した世界的黒人女性作家の最後の自伝的回想録。
確かにこの二種類の情熱[文学への情熱と料理への情熱]は並列できるものではないかもしれない。料理はヒトの動物的起源にさかのぼるもので、どんな周到な策略でもその真実は隠蔽できない。食べるものを作ることは、タブローを描くために色を集めるとか、韻律を探求することで成立するような、言わば高尚な活動ではないのだ。だがすぐさま気づいたのは、互いに違って見えたとしても、これらふたつの情熱は根本的には切り離せないということだった。かすかながら両者は共通するものを持っている。それに料理が育んだわたしの性向は、両親、特に母親が好む規範的な少女のイメージ通りになるものかという思いへとつながっていた。「エリーゼのために」ぶち壊しの演奏を聞かせておいて、お友達にお世辞を言わせる代わりに、わたしはキッチンに入る方を選んだ。わたしが文学の世界に入るにあたり抱いていたのも、同じく人を怒らせたいという欲望なのだ。(本書より)
【書評掲載情報】
【信濃毎日新聞】小野正嗣さんのマリーズ・コンデ『料理と人生』の書評が掲載されました
信濃毎日新聞 2023年10月14日 小野正嗣さん 忖度のない文章 忘れがたい後味
朝日新聞 2023年10月7日 長沢美津子さん 作家を支えたもう一つの「創作」
日本経済新聞 2023年9月30日 平松洋子さん 多様性を味わう作家の自伝