図録石川九楊大全

孤高の書家・石川九楊の全書業から厳選された300点を収録。

書誌情報

定価
3,300 円(税込)
ジャンル
刊行日
2024年06月15日
判型/ページ数
B5判 並製 380ページ
ISBN
978-4-96528-417-1
Cコード
C0071
装幀・装画
カバー表:「碧梧桐一〇九句選」より「大根を煮た夕飯の子供達の中にをる」(2020年)

内容紹介

白と黒の美学から抜け出し、「ニジミとカスレ」の情緒へのもたれかかりを排除し、
未踏の「書」の本当の姿を求め、格闘しつづけた書家・石川九楊。
六十年におよぶその唯一無二の表現史の全軌跡を収録した作品集。
【展示作品300点に及ぶ大規模個展、「石川九楊大全展」公式図録】


「書は書である」という東アジア的伝統芸能に自閉することなく、漢字語を共通語とする東アジアの文明文化の中心に位置する書をもってこの時代を捉えんと欲し、少なくとも時代との接触、最低限、時代と摩擦もしくは擦過せんと試みてきた。その結果、現代美術か現代音楽の図形楽譜と見まごうばかりの姿へと変貌を遂げた。これが東アジアのさらにその東海の弧なりの島を生きてきた私の六十年の表現の歴史である。(石川九楊)
【朝日新聞】福永信さんによる『図録石川九楊大全』書評が掲載されました

目次

はじめに

【古典篇】遠くまで行くんだ
千字文
李賀詩
中國古典
伊勢物語
葉隠
歎異抄
源氏物語書巻五十五帖
徒然草
方丈記
日本古典
盃千字文

【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ
初期作品群
碧梧桐一〇九句選
戦後現代詩文

作品リスト/石川九楊略年譜/展覧会概要

*収録作品(一部)
李賀詩 感諷五首(五連作)
李賀詩 贈陳商(十七連作)
蘭亭叙(未完)
屈原 漁父(全文)
伊勢物語 No.10
葉隠 No.6
歎異抄 No.2(未完)
歎異抄 No.18
徒然草 No.5
徒然草 No.22
風姿花伝 No.3
枕草子 No.1
正信偈
「鮎川信夫「落葉樹の思考」より」
「亀裂之断章」
「美と喧騒の死焉」
「吊」
「吉本隆明「固有時との対話」」
「可能性が可能性のまま凝固してしまう」
「太陽はさっさと素裸で海へ帰る」
「エロイ・エロイ・ラマサバクタニ」
「言葉は雨のように降りそそいだ 私訳イエス伝」
「自殺炎上」
「生きぬくんや」
「エロイエロイラマサバクタニ又は死篇」
「はぐれ鳥とべ」
「無限地獄・一生造悪」
「呵凍」
「田村隆一 立棺II-3」
「ドストエフスキー カラマーゾフの兄弟I」
「吉増剛造 オシリス石ノ神I」
「二〇〇一年九月十一日晴 垂直線と水平線の物語I(上)」
「9.11事件以後I」
「二〇一一年三月十一日雪 お台場原発爆発事件」
「領土問題」
「言葉がすべる」
「敗戦古稀 其一」
「「全顔社会」の恢復を願って」
「「ヨーロッパの戦争」のさなかに 人類の未熟について」

『図録石川九楊大全』に関する情報

著者プロフィール

石川九楊 (イシカワ・キュウヨウ)

1945年福井県生まれ。書家。
京都大学法学部卒業。京都精華大学教授、文字文明研究所所長を経て、現在、同大名誉教授。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解く。評論家としても活躍し、日本語論、日本文化論は各界にも大きな影響を与える。作品制作・執筆活動、いずれの分野でも最前線の表現と論考を続け、制作作品は二千点以上、著作刊行は百点を超える。
1990年『書の終焉 近代書史論』(同朋舎出版)でサントリー学芸賞、2004年『日本書史』(名古屋大学出版会)で毎日出版文化賞、同年日本文化デザイン賞、2009年『近代書史』で大佛次郎賞を受賞。2017年『書だ!石川九楊展』、2024年『石川九楊大全展』を開催(いずれも東京上野の森美術館)。『石川九楊著作集』全十二巻(ミネルヴァ書房)、『石川九楊自伝図録 わが書を語る』のほか、主な著書に『中國書史』(京都大学学術出版会)、『二重言語国家・日本』(中公文庫)、『日本語とはどういう言語か』(講談社学術文庫)、『説き語り 日本書史』(新潮選書)、『説き語り 中国書史』(新潮選書)、『書く 言葉・文字・書』(中公新書)、『筆蝕の構造』(ちくま学芸文庫)、『九楊先生の文字学入門』(左右社)、『河東碧梧桐 表現の永続革命』(文藝春秋)、編著書に『書の宇宙』全二十四冊(二玄社)、『蒼海 副島種臣書』(二玄社)、『書家』(新書館)、作品集に『自選自註 石川九楊作品集』(新潮社)、『石川九楊源氏物語書巻五十五帖』(求龍堂)などがある。

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