【東京新聞】太田和彦さんによる『戦争とデザイン』の書評が掲載されました
デザイナー・作家の太田和彦さんによる松田行正『戦争とデザイン』の書評が『東京新聞』(2022年9月4日号)に掲載されました。
プーチンが始めた戦争は、ウクライナ侵略を正当化するシンボルに「Z」を据え、ウクライナにとっては人と都市を破壊する悪魔のシンボルとなった。ナチのカギ十字をふたつに分けて回転して重ねると「Z」になる風刺画はプーチンとナチスを重ね合わせた最高の皮肉だ。
著者の冷静な図像分析は、キリスト教や中世十字軍、また国際赤十字などの「十字」考証にも及ぶが、プーチンを狂的蛮行者と断定する強い反戦姿勢が信頼できる。デザインの影響力は大きく、その主体が国家であるときは特に注意しなければならない。「国旗の乱舞には戦争の気配がする」という指摘は鋭い。
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