【週刊新潮】俵万智さんによる工藤吉生『沼の夢』の歌評が掲載されました
『週刊新潮』(2024年3月14日)の「新々句歌歳時記」にて、工藤吉生『沼の夢』掲載の短歌に歌評が寄せられました。
あたたかくなってくるのはありがたい母がなにかをゴシゴシしてる 工藤吉生
ああ春だなあという気分が、気分のままに伝わってくる。確かに「あたたかい」を「ありがたい」と感じるのが春なのだ。そしてそのあたたかさに誘われるように、活動的になる母。なんとなく啓蟄の虫のようでもある。ここを磨けるのはありがたい、あれを洗えるのはありがたい……そんな呟きが聞こえてきそうだ。母とゴシゴシを浮かび上がらせ、あとはのんびりとした平仮名なのも効果を上げている。
素敵な歌評をありがとうございました。