【産経新聞】桑原聡さんによる瀧村小奈生『留守にしております。』の書評が掲載されました
『産経新聞』(2024年3月10日)の「イチオシ詩歌」にて、瀧村小奈生『留守にしております。』の書評が掲載されました。
〈降る雨のところどころが仏蘭西語〉
フランス映画「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴの可憐な姿がすぐに浮かんできた。ここは「フランス語」ではなく、絶対に「仏蘭西語」でなければならない。理由なんてない。そんな彼女は言葉遊びもお手のものだ。
〈いろはにほへとへとになるまでさくら〉
「だから何なんだ」という人にはお引き取り願いたい。ただそんな人でも、次の句には何かを感じるのではなかろうか。
〈すれ違うせせらぐ音を持つ人と〉
東京の丸の内や大手町ですれ違う人から感じられるのは、怒気とマウント感ばかり。瀧村さんとすれ違ったら、せせらぐ音が聞こえてくるに違いない。そして鼻にはこんな匂いが。
《冬ざれのようにあなたはいい匂い》
ほっとさせ、にやりとさせてくれる句集だ。
素敵な書評をありがとうございました。