【図書新聞】玉木史恵さんによる『GREEK TO ME』の書評が掲載されました

【図書新聞】玉木史恵さんによる『GREEK TO ME』の書評が掲載されました

『図書新聞』(2024年3月23日号)にて、翻訳者・玉木史恵さんによる鈴木ヒラク『DRAWING ドローイング』の書評が掲載されました。以下、一部抜粋です。

推薦するという意味の「推す」から派生した「推し」は、熱心に支持する対象を表す俗語として日常的に使われる。 雑誌『ニューヨーカー』で校正者として二十四年間勤務し、カンマの女王として知られる著者メアリ・ノリスの「推し」は、アイドルでもゲームアプリでもなく、地中海のギリシャ共和国だ。「わたしはギリシャにまつわるあらゆるものの虜になった」(十七ページ)と述べる著者が、どのようにしてギリシャにハマり、どれほど愛し、どんな意味をもつのかを綴った本書は、著者の「推し活」の歴史だ。(中略)

著者はギリシャによって過去を捉え直し、精神的な支えを得て進むべき道を発見することができたのだ。 自信を持ってまっすぐに、責任を持って歩いて行こう。It's Greek to me.(ちんぷんかんぷんだ)と思っていた人生の救世主は、他ならぬGreek(ギリシャ語)でありGreece(ギリシャ)だった。「詩神よ、ギリシャにまつわるあらゆることをわたしのなかで歌いたまえ」(五ページ)という著者の祈りが聞こえる。それは、過去も現在も未来も救世主でありたまえと願う希求の祈り(invocation)である。

素敵な書評をありがとうございました。

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