【塔】川上まなみさんによる『みじかい曲』歌評が掲載されました
『塔』(2024年8月号)の「歌集・歌書探訪」にて、歌人・川上まなみさんによる堀静香『みじかい曲』の歌評が掲載されました。以下、抜粋です。
いつまでも自分が大事 ドーナツを持つときだけのこの手の形 堀 静香
違和感や、生活の中のふとしたところにちゃんと立ち止まる歌。
表紙のイラストにも描かれており、ドーナツの歌は歌集中にいくつかあるので、ポイントとして目に留まるが、私はこの歌が好きだ。確かに、ドーナツを持つ手の形は、他のものを掴むときにはない形の気がする。チョコがかかっていたり、トッピングがあったりすると、持ちにくい点も思い出す。歌のリズムも、局所にOの音(も、ど、を、の)がちりばめられ、「だいじ」「かたち」の韻を踏んでいるようなリズムが心地よい。だから、「違和感」というより、生活の中に一瞬立ち止まる主体を想像し、私も一緒に立ち止まってしまう。結局、私、自分がいつまでも大事にしちゃうよなぁって。
川上まなみさん、素敵な歌評をありがとうございました。