書誌情報
- 定価
- 2,970 円(税込)
- 電子書籍価格
- 2,970 円(税込)
- ジャンル
- 文芸・評論・エッセイ
- 刊行日
- 2023年02月10日
- 判型/ページ数
- 四六判 並製 320ページ
- ISBN
- 9784-86528-349-5
- Cコード
- C0097
- 装幀・装画
- コバヤシタケシ/装幀
サカヨリトモヒコ/装画
内容紹介
マーガレット・アトウッド、カレン・ラッセル絶賛! 2020年英国コスタ賞受賞!
70年代カリブ海を舞台に繰り広げられる、呪われた人魚と、島に暮らして歌を愛する漁師の邂逅。全く新しいマーメイド・ストーリー、カリブのマジックリアリズム!
あらすじ
1976年。カリブ海に浮かぶブラックコンチ島の漁師デイヴィッドは人魚アイカイアと出会い、伝説の存在である彼女に惹かれていく。
だが、ある日島で開かれた釣り大会で、アメリカ人の親子がアイカイアを釣り上げてしまう。博物館に売り飛ばそうとする彼らから瀕死の人魚を盗み出し、自宅に匿うデイヴィッド。世話をするうち、アイカイアは少しずつ人間の姿に変化していく。
彼女は呪いで人魚に姿を変えられた、千年前の先住民族の少女だったのだ。
一緒に暮らすうちにデイヴィッドと心をかよわせ、領主やその息子と仲良くなるアイカイアだったが、獲物を奪われたアメリカ人、ひと儲けをたくらむ村人、そして永久の呪いが彼女を放っておいてくれるわけもなく──。
櫛やガラスのようなきれいなものも、ウェーブしたふわふわの髪もない。ただの人魚物語じゃない。──マーガレット・アトウッド(『侍女の物語』)
誰もが知っている悲しい人魚物語に挑戦し、覆す、新しい海の賛歌だ。──カレン・ラッセル(『レモン畑の吸血鬼』)
ミソジニー、植民地主義の暴力、友情、嫉妬、そして官能的な愛の世界に果敢に分け入る、熱帯の嵐のように魅力的な読書体験だ。──C・パム・ジャン(『その丘が黄金ならば』)
バスタブのまわりは果物の皮や彼女の体から剥がれ落ちたもので散らかるようになった。髪に絡まっていた海藻は塊になって落ちはじめ、長くて黒いもつれたドレッドヘアが現れた。耳からは海水が滴り、小さな海の昆虫が這い出てきた。鼻からは軟体動物や小型のカニが出てきた。彼女はさまざまな海の小動物の棲み処で、そうした生き物は日が過ぎるうちに彼女を明け渡し、出ていった。バスタブの脇に小山ができ、その山はうごめいていた。カニが横歩きで逃げていった。においを嗅ぎつけてやってくる近所の猫を追い払わなくてはならなかった。(本文より)
【西日本新聞】河野聡子さんによる『マーメイド・オブ・ブラックコンチ』の書評が掲載されました
【毎日新聞】伊藤亜紗さんによる『マーメイド・オブ・ブラックコンチ』の書評が掲載されました