【毎日新聞】伊藤亜紗さんによる『マーメイド・オブ・ブラックコンチ』の書評が掲載されました
美学研究者・伊藤亜紗さんによる、モニーク・フェロイ著、岩瀬徳子訳『マーメイド・オブ・ブラックコンチ』の書評が2023年4月8日の毎日新聞朝刊に掲載されました。以下一部抜粋です。
フジツボのついた腰、横隔膜がもちあがるときに開くえらの割れ目、鱗に覆われた胴、クラゲが絡みついた髪、男たちの心を射抜く銀色の目。本作の魅力は生々しく肉感的な人魚の描写だ。(中略)魚という牢獄のなかで長い時間生きてきた人間が解放されてゆくプロセスでもある。自分の中に眠っていた力の発見は、公民権運動や女性解放運動が広がっていた当時の時代状況とも響き合う。そしてまだ歩き始めた人魚の耳には、まだ新曲だったボブ・マーリーが聞こえている。
伊藤さん、素敵な書評をありがとうございます。