覚醒せよ、セイレーン 

覚醒せよ、セイレーン

ラテン語文学の最高峰『変身物語』に登場するローマ神話の女たちが、自らの声を得て語りはじめる。

書誌情報

定価
3,300 円(税込)
電子書籍価格
3,300 円(税込)
ジャンル
刊行日
2023年05月30日
判型/ページ数
四六判 並製 368ページ
ISBN
978-4-86528-367-9
Cコード
C0097
装幀・装画
柳川貴代/装幀、榎本マリコ/装画

内容紹介

メドゥーサ、ダプネ、セイレーン。
神々に蹂躙される女たちが、いま自分の声で語りはじめる。


海神ネプトゥーヌスに襲われ、襲われた罰を受けて人を石にする蛇の髪をまとうメドゥーサ、ユピテルに狙われたことが引き金となっておおぐま座にされたカリスト、愛する夫の死を悲しんで海に身を投げ、カワセミになったアルキュオネ、いなくなってしまった友達を探すために翼を得て歌い、その歌に男たちが引き寄せられるようになってしまったセイレーンたち……。
オイディウスによるラテン語文学の最高峰『変身物語』からこぼれ落ちた女性たちの声をすくいあげ、燃える怒りと深い悲しみ、そして生き延びるための願いをこめて語り直す、注目の短篇集。

※本書には、身体的・精神的・性的暴力の描写が含まれます。
古い神話が鮮烈に翻案されている。素晴らしい。
──ケリー・リンク(『マジック・フォー・ビギナーズ』

大胆かつ抒情的、単刀直入でありながら官能的、そして自然の美しさに満たされた言葉で書かれた、素晴らしく余韻の残る作品だ。
──メアリ・ノリス(『カンマの女王』)


古典の挑発的な再解釈だ。あまり知られていない女性の登場人物に光を当て、自分の声に語らせている。生き生きと鮮やかで、怒りに満ちている
──《カーカス》
神話の世界へ、『変身物語』の世界へ、「誘惑者」、妖精、女神の声を聞きにいこう。いまこそ。
──《Lit Hub》
1000年のあいだ響き渡る女たちの怒りのコーラスだ。
──《パブリッシャーズ・ウィークリー》

**********

ただ生きていただけなのに、標的にされ、傷つけられ"変身"した者たちの悲しみと怒りの叫び。
時間と経験によって"変身"する女たち。
マクローリンが描く強烈なサバイバルの物語は、神話の「お決まり」として語られ、婉曲表現に隠されてきた痛みを掘り下げ、問いかける。
あなたはどこまで知りたいですか?と。
──小澤身和子(翻訳者)



書店員様より

「ラテン文学の最高峰」の名のもとで、そこに登場する女性たちに起きていたこと。神話という聖域の中に閉じこめられて声を上げられずにいたセイレーンたちが時を越えて覚醒した今、現代に生きる私たちにこんなにも勇気をくれる。女が死ななくても済む文学が、2000年後くらいには沢山あるからねってセイレーン達に伝えたい。
──ジュンク堂書店池袋本店 市川真意さん

語られなかった声、沈黙させられてきたすべての人々の声に私たちは耳を傾けなければならない。
もう聞こえなかったふりをする事は出来ない。
そう胸に突きつけられた気がしました。
──紀伊國屋書店 販売促進本部 佐貫聡美さん

物語を語るのは、力を持つことだ。
だから彼女たちは語りなおす。奪われてきた力を取り返すために。
これこそが今、古典の語りなおしが求められる理由だ。
もっと早くに来るべきだった彼女たちの時代が来たのだ。
──梅田 蔦屋書店 河出真美さん

原作では封印されていた、彼女たちの叫び、訴え、笑いが、本の中から溢れてくる。物語全体にみなぎるパワーが、読んでいるこちらにまで伝染する。
 もっと耳をすませたい。見過ごしてしまっている様々なこと、見て見ぬふりをしている様々なことをきちんと知りたいと改めて思った。
──紀伊國屋書店新宿本店 近江菜々子さん

書店員さんからのご感想全文はこちらから

【信濃毎日新聞】伊藤春奈さんによる『覚醒せよ、セイレーン』の書評が掲載されました
【週刊読書人】柿内正午さんによる『覚醒せよ、セイレーン』の書評が掲載されました
【西日本新聞】河野聡子さんによる『覚醒せよ、セイレーン』の書評が掲載されました
【毎日新聞】鴻巣友季子さんによる『覚醒せよ、セイレーン』の書評が掲載されました

目次

ダプネ
アラクネ
カリスト
アガウエ
テイレシアス
シュリンクス
エコー
ミュラー
イオ
スキュラ
シビュラ
セメレ
メドゥーサ
カイネウス
アレテューサ
へリアデスたち
アルクメネ
プロクネとピロメラ
バウキス
アイボリー・ガール
ドリュオペ
カネンス
アルキュオネ
テティス
サルマキスとヘルム=アプロディトス
エーゲリア
ニュクティメーネ
レウコトエ
アタランタ
イピス
ヘクバー
ポモナ
セイレーンたち
エウリュディケ
オウィディウス後

あとがき
謝辞
訳者あとがき

『覚醒せよ、セイレーン 』に関する情報

著者プロフィール

ニナ・マグロクリン

ニナ・マグロクリン (マグロクリン, ニナ)

アメリカの作家。「ボストン・フェニックス」で編集者として働いたのち、「ボストン・グローブ」のコラムニストとして活躍。他にも、「パリスレビュー」「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ブックスラット」「コスモポリタン」などで執筆している。2015年、大工修業の経験を書いた『彼女が大工になった理由』(エクスナレッジ)が高い評価を得て、ウェブメディアRefinery29の「知っておくべき21人の新人作家」に選出された。『覚醒せよ、セイレーン』が初のフィクション作品である。マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。
写真:Kelly Davidson

小澤身和子 (オザワ・ミワコ)

東京大学大学院人文社会系研究科修士号取得、博士課程満期修了。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士号取得。「クーリエ・ジャポン」の編集者を経て翻訳家に。訳書にリン・ディン『アメリカ死にかけ物語』、リン・エンライト『これからのヴァギナの話をしよう』、ウォルター・テヴィス『クイーンズ・ギャンビット』、ジェニー・ザン『サワー・ハート』、カルメン・マリア・マチャド『イン・ザ・ドリームハウス』、デボラ・レヴィ『ホットミルク』など。共訳書にカルメン・マリア・マチャド『彼女の体とその他の断片』。

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