刊行目録

思い出しておくれ、幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール…

シャンソン「枯葉」「バルバラ」、映画「天井桟敷の人びと」。
パリに生きるフランス庶民のエスプリと哀感を、心に残る幾多のことばを紡ぎ出した詩人プレヴェール。
迫りくるファシズムの脅威、ナチスドイツのパリ侵攻、そして冷戦。
シュルレアリスム運動への参加を皮切りに、自由と抵抗をうたい続けて二〇世紀を生き抜いたその生涯を、交錯した幾多の芸術家たちとともにたどる。
刊行され始めた数々の資料をもとにおくる本邦初の評伝。
「枯葉」をはじめとするプレヴェールの詩の数々を、本文中で多数掲載。

海に降る雨 Agend’Ars3 管啓次郎詩集

海岸と海岸は海岸として特に似ていなくても、それぞれの海岸で見る海はその場の固有の海であり同時にひとつにつながったおなじ海だ。地球の海に孤立はない。海は荒れている時もおだやかな時もその力そのもののように感じられる。雨は激しい時もしずかな時もそれぞれに心を育ててくれる。そしてどちらの水も水はひとつ、循環のサイクルにおいて、私たちの中を流れてゆく。私たちの個々の…

路地に花咲く 鈴木サダ子歌集

年なれば外に働く要なきも不安はありて求人欄みる
子と二人映画に行けばいつしか立場変りて券買いくれぬ
二人居に慣れし今宵を老夫は親のつとめの終りしをいう
貧しかりし幼き日持つ二人にて遠き痛みを語るイブの夜
会い会うは句読点に似て明日よりまたそれぞれのひたすらな道

基地の町・立川に起居しながら、つむがれた504首。
よみがえる昭和の記憶。