フッサールの遺稿 ナチから現象学を守った神父

フッサールの遺稿

ナチから現象学を守った神父

ナチからフッサールの遺稿を救い出した神父の生涯と、フッサール文庫設立の軌跡を追った哲学ノンフィクション。

書誌情報

定価
3,850 円(税込)
電子書籍価格
3,740 円(税込)
ジャンル
刊行日
2023年01月31日
判型/ページ数
四六判 上製 336ページ
ISBN
978-4-86528-358-7
Cコード
C0010
重版情報
1
装幀・装画
松田行正+杉本聖士/装幀

内容紹介

フッサール以後の現象学はここからはじまった。

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哲学史には、哲学者以外の立役者が存在する。まるで映画のようにスリリングに描かれる現代の現象学研究誕生秘話。
——小川仁志(哲学者・山口大学国際総合学部教授)
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ナチ台頭によって、フッサールの自筆原稿が葬り去られようとしていた。危機を察知した神父ヘルマン・レオ・ファン・ブレダは、遺稿を国外に持ち出そうと計画する。
刻一刻と変わる状況、財政難、収容所に収監されていく仲間たち……度重なる出来事に見舞われながらも、ファン・ブレダたちがルーヴェンのフッサール文庫を設立・発展させるまでを描く。
フッサールの妻や弟子たち、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティ、レヴィナスらとの関係も垣間見える哲学ノンフィクション。

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ファン・ブレダは、とっさのひらめきで、彼のその後の人生を決する提案をした。
それは同時に、その場で話をしていたほかの二人、すなわちマルヴィーネ・フッサールとオイゲン・フィンクの人生も決するものだった。
遺稿のすべてを世界の人々が手に取れるようにするための唯一の可能性は、本物のフッサール文庫を創設することです、と神父は言ったのだ。
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【図書新聞】稲垣諭さんによる『フッサールの遺稿』の書評が掲載されました
【中日新聞】『フッサールの遺稿』が紹介されました
【週刊読書人】富山豊さんによる『フッサールの遺稿』の書評が掲載されました

目次

はじめに

第一部 ベルリン行きの三つのスーツケース
第二部 戦争の時代
第三部 あるフランシスコ会修道士の執念

おわりに

謝辞
図版
図版情報
参考文献
人名索引

『フッサールの遺稿 ナチから現象学を守った神父』に関する情報

著者プロフィール

トーン・ホルステン (トーン・ホルステン)

1969年生まれ。ベルギーのフリージャーナリスト。新聞、雑誌に寄稿するほか、ベルギーの放浪者コロニーに関する書籍(“Landlopers[放浪者]”)や、『タンタンの冒険』の原作者エルジェの芸術的遺産についての書籍(“Kinderen van Kuifje[タンタンの子どもたち]”)を執筆。自身の親類であるヘルマン・レ オ・ファン・ブレダの生涯について何年にもわたり研究を重ね、2018年に“De pater en de filosoof [神父と哲学者]”(邦題『フッサールの遺稿』)を発表。“De pater en de filosoof”は、ベルギーおよびオランダでベストセラーとなり、Spiritual Book Awardを受賞している。ドイツ語訳が2021年に出版されると、ドイツ語圏の主要メディアがこぞって取り上げ、公共放送局ZDF(第2ドイツテレビ)と週刊新聞『ツァイト』紙のノンフィクション書籍部門のトップ10にランクされた。

赤坂桃子 (アカサカ・モモコ)

翻訳家。上智大学文学部ドイツ文学科および慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション、人文・思想、文芸など、さまざまなジャンルの翻訳を手がける。主な訳書に『東西ベルリン動物園大戦争』(ヤン・モーンハウプト著、CCCメディアハウス)、『精神療法における意味の問題』(ヴィクトール・E・フランクル著、北大路書房)、『人生があなたを待っている――〈夜と霧〉を越えて 1・2』ヴィクトール・フランクル評伝(ハドン・クリングバーグ・ジュニア著、みすず書房)、『ピネベルク、明日はどうする!?』(ハンス・ファラダ著、みすず書房)、『沈黙を破る者』(メヒティルト・ボルマン著、河出書房新社)、『NSA 上・下』(アンドレアス・エシュバッハ著、早川書房)ほか多数。共訳に『ゲッベルスと私――ナチ宣伝相秘書の独白』(ブルンヒルデ・ポムゼルおよびトーレ・D・ハンゼン著、紀伊國屋書店)など。

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