ユング心理学の〈現在・過去・未来〉

ユング心理学の〈現在・過去・未来〉

ギーゲリッヒ論集

著者:ヴォルフガング・ギーゲリッヒ 著者:猪股剛 著者:兼城賢志 著者:宮澤淳滋

ユング心理学の今日的意義を問う、現代ユング派の碩学による日本版オリジナル論考集

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書誌情報

定価
6,050 円(税込)
ジャンル
刊行日
2025年03月28日
判型/ページ数
四六判 並製 464ページ
ISBN
978-4-86528-459-1
Cコード
0011
装幀・装画
大倉真一郎

内容紹介

人間とはなにか、意味とはなにか、私とはなにか──。

メディアに包囲され、マネーに蹂躙される私たちにとって、

ユング心理学はいかなる可能性をもつのだろうか。

 

私たちの〈魂〉の「現在」「過去」「未来」を論じるユング心理学。

社会学でも歴史学でもない視点から、人間の歴史を描くその心理学は今日でも有効なのか? どのような意味があるのか?

西洋においてもはや宗教的世界観がもはや失われたことをユング心理学は直視できているのか、批判的に問い大きな反響を呼び起こした「意味の終焉と人間の誕生」。それでもなお私たちの心に受け継がれる古代的心性を描く「義兄弟、血の復讐、そして献身」。今日私たちがおかれたメディア的状況を踏まえ、西洋哲学史全体を覆う〈プラトンの洞窟〉の比喩の更新を諮る「プラトンの洞窟 西洋の魂の自己内閉」。

現代ユング派心理学を代表するヴォルフガング・ギーゲリッヒの主要3論考に加え、訳者たちによる応答論考を収録した注目の日本版オリジナル論集。

第1章 意味の終焉と人間の誕生 意識の歴史に到達した状態に関する小論および、C・G・ユングの心理学の企図の分析
応答論文:第2章 人間の誕生の受け入れ難さ──四人の分析家のコメントと、キャラクター化された神 宮澤淳滋
第3章 義兄弟、血の復讐、そして献身 古代的な心の片鱗
応答論文:第4章 血から心臓へ、心臓から心へ 兼城賢志
第5章 プラトンの洞窟 西洋の魂の自己内閉
応答論文:第6章 メディア的な現代と、ユング心理学のリフレクション 猪股剛
あとがき 猪股剛

『ユング心理学の〈現在・過去・未来〉』に関する情報

ヴォルフガング・ギーゲリッヒ (ギーゲリッヒ、ヴォルフガング)

1942年生まれ。
ドイツ連邦共和国ベルリン市在住。米国ニュージャージー州立大学ドイツ文学の教授職を辞して心理学へ転じ、1976年よりユング派分析家。二十世紀の東西思想の結節点となったエラノス会議にてくり返し演者を務めるところから始まり、現在までユング思想を牽引し続けている。既刊邦訳に『魂と歴史性』『神話と意識』(いずれも日本評論社)、『魂の論理的生命 心理学の厳密な概念に向けて』『ユングの神経症概念』『仏教的心理学と西洋的心理学』(いずれも創元社)、「抑圧された忘却 アウシュヴィッツといわゆる〈記憶の文化〉」(『ホロコーストから届く声』所収、左右社)などがある。また夢分析論の決定版とも言える『夢と共に作業する』(日本評論社)が近刊予定。

猪股剛 (イノマタ・ツヨシ)

1969年生まれ、ユング派分析家、臨床心理士/公認心理師。
帝塚山学院大学准教授。精神科や学校臨床において実践に携わるとともに、アートやパフォーマンスの精神性や、現代の心理の深層を思索することを専門としている。著書に『心理学の時間』(単著、日本評論社)、『遠野物語 遭遇と鎮魂』(共著、岩波書店)、『ホロコーストから届く声 非常事態の人のこころ』『私たちのなかの自然』『家族のおわり、心のはじまり ユング派心理療法の現場から』(編著、左右社)、訳書に『近代心理学の歴史』『意識と無意識』(いずれもC・G・ユング著、創元社)、『仏教的心理学と西洋的心理学』(W・ギーゲリッヒ著、創元社)『夢と共に作業する』(W・ギーゲリッヒ著、日本評論社)などがある。

兼城賢志 (カネシロ・ケンジ)

1986年生まれ。臨床心理士/公認心理師、博士(心理学)。
俳誌『鷹』同人、俳人協会会員。精神科や小児科、学校での臨床実践を経て、現在、大正大学臨床心理学部助教。深層心理学の立場で心理療法の実践を行いながら、発達障害、言語、宗教などのテーマを研究している。著書に『新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか』(ふらんす堂、分担執筆)、『私たちのなかの自然』『家族のおわり、心のはじまり』(左右社、分担執筆)などがある。 1986年生まれ。臨床心理士/公認心理師、博士(心理学)。

宮澤淳滋 (ミヤザワ・ジュンジ)

1978年生まれ。臨床心理士/公認心理師。
新潟青陵大学准教授。主に精神科領域において夢を主体とした心理療法を実践し、心を通して開けてくる世界を探究している。著書に『ホロコーストから届く声』『私たちのなかの自然』(いずれも左右社、分担執筆)、訳書にC・G・ユング『パウリの夢』『近代心理学の歴史』『分析心理学セミナー1925 ユング心理学のはじまり』(いずれも創元社、共訳)などがある。

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