ドナウ、小さな水の旅 ベオグラード発

ドナウ、小さな水の旅

ベオグラード発

堀江敏幸氏、奈倉有里氏推薦! ベオグラード在住の詩人・山崎佳代子が、ドナウ河の支流から、はるかな歴史の旅へと誘う傑作エッセイ。

書誌情報

定価
2,860 円(税込)
ジャンル
刊行日
2022年12月27日
判型/ページ数
四六判変形 並製 288ページ
ISBN
978-4-86528-354-9
Cコード
0098
装幀・装画
山崎萌/写真 佐野裕哉/装幀

内容紹介

確かな歩幅で選ばれた詩人の言葉が、背中を向けようとする歴史を今に留める。――堀江敏幸

この世界のすべての水は故郷の水とどこかでつながっている。この鋭く優しい描写に身をゆだねれば、知らなかった土地にも泳いでいける。――奈倉有里

バルカン半島の国セルビア在住の詩人・山崎佳代子による最新エッセイ集。二千年の間に百五十もの戦争によって破壊され、そのたび蘇ったことから不死鳥に例えられる首都・ベオグラード。その地から、ヨーロッパ第二の大河と呼ばれるドナウ河に繫がる小さな支流をめぐり、時間の旅が始まる――


 本書に記録した町や村は、いずれもベオグラードに劣らず、苛酷な歴史をくぐりぬけてきた。それぞれの町、それぞれの村が、それぞれの過去を秘めている。ラキアと呼ばれる土地の火酒やワイン、肉料理やチーズの味、人々の暮らしぶりには、土地の風が香り、小さな水のささやきが聞こえるだろう。小さな水たちは、ドイツの「黒い森」から流れ出るドナウ河に溶け込んで、黒海へ旅を続けていく。あなたの旅が始まろうとしている。今は形を失ったもの、見えないものに思いを馳せるとき、土地はあなたの書物となる。よき旅を祈る。――「旅がはじまろうとしている」

【現代詩手帖】松永美穂さんによる『ドナウ、小さな水の旅』の書評が掲載されました
【図書新聞】宮崎悠さんによる『ドナウ、小さな水の旅』の書評が掲載されました
【朝日新聞】藤原辰史さんによる『ドナウ、小さな水の旅』の書評が掲載されました

目次

プロローグ
旅がはじまろうとしている

地球は震えている 東京からベオグラードへ
秋の海、ではなく ドナウをくだりスメデレボの古城へ
石、風、火 ドナウをわたりルーマニアへ
村、水、炎 モラバ川をたどってゴロビリェへ
橋と子供 サバからドナウへ哀しみは流れ
鳩たちの砦 ドナウをくだり古城ゴルバッツへ
廃屋のある情景 ミロブシティツァ川をたどりルタニ山へ
移動の詩人ベンツロビッチ ラーチャ川からドナウへ
寒い日々の物語 ドナウをのぼりノビサドへ
円卓会議の故郷 ドナウをのぼりスレムスキー・カルロウツィへ
『ドリナの橋』へ船の旅 ドリナ川をのぼりビシェグラードへ
茜色の大聖堂 イバル川をたどりジチャ修道院へ
水の妖精 ドナウをくだりレペンスキー・ビルへ
はるかな薔薇色の国 サバ川の岸辺から
丘に眠る人々 ドリナ川をたどりバリェボへ
水のはじまり ドリナ川からターラ山の水源をたどって
骸骨の物語 ニシャバ川をたどりニーシュへ
大地は力を尽くして ドリナ川をわたりロパレ町へ
聖なる水とクジャク ドナウをたどり東セルビアへ
ベオグラード物語 ドナウがサバ川と出会うとき
人形たちの声 バニツァ強制収容所記念館にて
子供と小鳥 ドナウに浮かぶ大戦争島から

エピローグ
旅のための書物たち
初出一覧

『ドナウ、小さな水の旅 ベオグラード発』に関する情報

著者プロフィール

山崎佳代子 (ヤマサキ・カヨコ)

詩人、翻訳家。一九五六年生まれ、静岡市に育つ。北海道大学露文科卒業。サラエボ大学文学部、リュブリャナ民謡研究所留学を経て、一九八一年よりセルビア共和国ベオグラード市在住。ベオグラード大学文学部にて博士号取得(比較文学)。著書に『パンと野いちご』(勁草書房)、『ベオグラード日誌』(書肆山田)、『戦争と子ども』(西田書店)『そこから青い闇がささやき ベオグラード、戦争と言葉』(ちくま文庫)など、詩集に『黙然をりて』『みをはやみ』(書肆山田)、『海にいったらいい』(思潮社)など、翻訳書にダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』『死者の百科事典』(創元ライブラリ)などがある。 

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