詩集 私のハランバンジョウ|加代敏
人は生きる、時は流れる。 白雪の若鷲よ、風に乗って 悲しみ苦しみと抗戦し 新たなるロマンをつむぎ往け。 「星月夜」より
「人生はだれでもがハランバンジョウである。」
これが、私の人生に対する基本的な理解です。どんなに平凡な人生であったと思っていても、この世に生を享け、成長に従って、進学、就職、結婚そして親の死など、人生の節目には言いがたい喜びや悲しみがあります。人生はまさに波瀾万丈であるといえます。
自分自身を振り返ってみても、一九九五年一月に阪神・淡路大震災に遭遇し、芦屋市の未曾有の災害復興に職員として携わっていました。(「明日を求め、生き抜く旅人へ あとがきにかえて」より)
目次
切り抜いたある日の夕刊記事―まえがきにかえて
蔕―へた―
メタセコイア
萱と炭
お花が・・・
自転車
霊魂物語はお好き?
無為なる
疾走
私は祈ります
大蛇の伝説
団塊世代のレッテルを貼られて
蔓―つる―
すみれは薫る
ふたりのシャンソン教室
お祝いスピーチ
サンダルと素足
機関車が走る
ケイタイ・ラブ
金時人参
老年の恋
病床にて
蓉子
葛―かずら―
星月夜
ツナガル命
少年は三輪車に乗って
パピヨン、その不思議
ふるさとの小径
而立父からの手紙
墨汁のおまじない
美布由さんの恋
おんなの顔は命
わが喉頭から声を吐く
寓話跳ねないカエル(抄)
明日を求め、生き抜く旅人へ――あとがきにかえて
初出一覧
加代敏(かしろ・びん)1948年佐賀県牛津町(現・小城市)生まれ。1967年、長崎県立佐世保北高等学校卒業。高校1年の教科書で中原中也の「曇天」に出会い、以来中也に傾倒。1972年、神戸大学法学部第二課程卒業。兵庫県芦屋市役所就職、阪神・淡路大震災の復興に携わる。2009年、定年退職。2014年9月20日、がんにより他界。